maniacs 工房長 大谷です。Golf8 Hatchback用のMCBは、先月中旬に発売開始しまして、既に多くのお客様に装着していただき大好評をいただいております。2回目の試作でブラケットの剛性バランスを改善したご説明を以前に掲載しましたが、じつは、この試作2回目から製品版の間でも、更に設計のブラッシュアップを行っています（製品の始めから適用済みです）。
現在、maniacsのデモカーGolf8 GTIには、この製品版のMCBが装着されていますので、最終的にどのような乗り味になったか、ご興味の方はぜひご来店されて試乗してみてください。
さて、具体的にどのような設計変更を行って、MCBの効果がどのようにアップしたのか？せっかくなので、細大漏らさず超マニアックな説明をいたします。
この3つ並べたブラケットは、左から順に試作1回目、試作2回目、製品版です。車両に取り付ける面が写真下側で、写真上側にMCBを装着するフランジが結合されます。つまり写真の上が車両の前方ということになります。試作1回目から2回目、製品と、順に少しずつ太っているのが分かると思います。計算値では、試作1⇒2で曲げ剛性が約200％アップ、試作2⇒製品で剛性をさらに約20％アップしています。試作1から比較すると製品は240％の剛性ということです。
ブラケットの剛性は、とくに捩じれ剛性を上げ過ぎた場合にツッパリ感とか、こわばり感が出てしまうことがあるのですが、試作2回目の評価の結果、まだもう少し剛性をアップした方が感触が良くなるだろうとの判断で、製品版に向けて剛性をアップした次第です。
こちらはMCBを装着するフランジですが、試作1⇒2でブラケットに締結する部分の剛性を大幅にアップしています。試作2回目の評価でこの部分の剛性は十分と判断して、製品化に向けては施工作業性向上のための、微妙な寸法変更に留めています。
試作2⇒製品で最も大きく変更した点は、車両に装着する締結面の面剛性のアップです（写真奥側の、ボルト穴が左右にあいた面）。もともと締結面の面剛性を適度に下げていた理由は、車両側の締結面の平面精度が不完全で、その誤差を吸収して密着させる目的でした。しかし試作2回目の評価で、この箇所は車両側の面剛性がやや弱めで、それがMCBの支持剛性をスポイルしていると思われたので、ブラケットの締結面の剛性アップするとともに接触面積を広くして、締結完了状態での締結部全体の剛性をアップするように考え方を変更しています。
また、写真で上面の折り返しが締結面に接続される箇所（左側のボルト穴の上のヒサシ）の溶接を長くしています。具体的には、試作1⇒2で溶接長さを3.5mm延長、試作2⇒製品でさらに2mm延長しています。ここは捩じれ変形に対して要所になるので、この部分を固めることでMCBの支持剛性は大幅にアップします。
MCB本体の取付位置は、車両に対して、試作1⇒2で4mm上かつ4mm後方に移動し、試作2⇒製品でさらに1.5mm上に移動しました。僅かですが、写真でみてもMCB取付穴（右側の長穴）のオフセット量が減っているのが見て取れます。これによりMCB中心軸の高さをブラケットの剛性中心にほぼ一致させたので、MCBを伸縮させる力が生じる際に、ブラケットに掛る捩じりモーメントそのものがほぼゼロとなり、ボディの変形が効率的にMCBに伝達されます。
このブラケットのコピー商品を作る人もいないでしょうから、CADでの比較も掲載します。見ての通りミリ単位の調整ですが、実際に装着して試乗しますと、これで確実に乗り味の変化が分かります。試作2⇒製品の設計変更は、べつにやらなくても販売上は全く問題なかったわけで、至高を目指して探求し続けるのはもはや工房長の趣味の領域とも言えます（笑）。
試作1⇒2で以前に説明したように激変したのに比較すると、試作2⇒製品の変化はそこまで大きくありませんが、しかし確実に進化しています。デモカーのブラケットを交換したと知らせていなかった杉田マネージャーが「あれっ、MCBの何かを変えましたか？」と気づきましたので、つまり十分に体感できる変化ということです。微振動の吸収がより良くなり、角の取れた自然な乗り心地になっています。僅かに残っていたフロントのこわばり感も綺麗に解消しています。それでいて、ハンドリングは極めてレスポンスが良く、かつリニアな感触です。
っというわけで、製品版は最高の仕上がりになっています。記事のタイトルにあるVariantの説明が最後になりましたが、先日Variant への装着確認を完了しましたので、Variant用のラインナップを販売に加えました。Variant用のフロントブラケットは上記説明のHatchback用と同じ最新版で、リアの装着は専用の構成になります。各グレードの車両への装着実績が十分足りるまで当面の間、maniacs STADIUMでの装着に限らせて頂きますので、Webshop通販はもう少々お待ち下さい。
Motion Control Beam Tuned by maniacs (Golf8 Hatchback)商品ページ
Motion Control Beam Tuned by maniacs (Golf8 Variant)商品ページ
現在、maniacsのデモカーGolf8 GTIには、この製品版のMCBが装着されていますので、最終的にどのような乗り味になったか、ご興味の方はぜひご来店されて試乗してみてください。
さて、具体的にどのような設計変更を行って、MCBの効果がどのようにアップしたのか？せっかくなので、細大漏らさず超マニアックな説明をいたします。
この3つ並べたブラケットは、左から順に試作1回目、試作2回目、製品版です。車両に取り付ける面が写真下側で、写真上側にMCBを装着するフランジが結合されます。つまり写真の上が車両の前方ということになります。試作1回目から2回目、製品と、順に少しずつ太っているのが分かると思います。計算値では、試作1⇒2で曲げ剛性が約200％アップ、試作2⇒製品で剛性をさらに約20％アップしています。試作1から比較すると製品は240％の剛性ということです。
ブラケットの剛性は、とくに捩じれ剛性を上げ過ぎた場合にツッパリ感とか、こわばり感が出てしまうことがあるのですが、試作2回目の評価の結果、まだもう少し剛性をアップした方が感触が良くなるだろうとの判断で、製品版に向けて剛性をアップした次第です。
こちらはMCBを装着するフランジですが、試作1⇒2でブラケットに締結する部分の剛性を大幅にアップしています。試作2回目の評価でこの部分の剛性は十分と判断して、製品化に向けては施工作業性向上のための、微妙な寸法変更に留めています。
試作2⇒製品で最も大きく変更した点は、車両に装着する締結面の面剛性のアップです（写真奥側の、ボルト穴が左右にあいた面）。もともと締結面の面剛性を適度に下げていた理由は、車両側の締結面の平面精度が不完全で、その誤差を吸収して密着させる目的でした。しかし試作2回目の評価で、この箇所は車両側の面剛性がやや弱めで、それがMCBの支持剛性をスポイルしていると思われたので、ブラケットの締結面の剛性アップするとともに接触面積を広くして、締結完了状態での締結部全体の剛性をアップするように考え方を変更しています。
また、写真で上面の折り返しが締結面に接続される箇所（左側のボルト穴の上のヒサシ）の溶接を長くしています。具体的には、試作1⇒2で溶接長さを3.5mm延長、試作2⇒製品でさらに2mm延長しています。ここは捩じれ変形に対して要所になるので、この部分を固めることでMCBの支持剛性は大幅にアップします。
MCB本体の取付位置は、車両に対して、試作1⇒2で4mm上かつ4mm後方に移動し、試作2⇒製品でさらに1.5mm上に移動しました。僅かですが、写真でみてもMCB取付穴（右側の長穴）のオフセット量が減っているのが見て取れます。これによりMCB中心軸の高さをブラケットの剛性中心にほぼ一致させたので、MCBを伸縮させる力が生じる際に、ブラケットに掛る捩じりモーメントそのものがほぼゼロとなり、ボディの変形が効率的にMCBに伝達されます。
このブラケットのコピー商品を作る人もいないでしょうから、CADでの比較も掲載します。見ての通りミリ単位の調整ですが、実際に装着して試乗しますと、これで確実に乗り味の変化が分かります。試作2⇒製品の設計変更は、べつにやらなくても販売上は全く問題なかったわけで、至高を目指して探求し続けるのはもはや工房長の趣味の領域とも言えます（笑）。
試作1⇒2で以前に説明したように激変したのに比較すると、試作2⇒製品の変化はそこまで大きくありませんが、しかし確実に進化しています。デモカーのブラケットを交換したと知らせていなかった杉田マネージャーが「あれっ、MCBの何かを変えましたか？」と気づきましたので、つまり十分に体感できる変化ということです。微振動の吸収がより良くなり、角の取れた自然な乗り心地になっています。僅かに残っていたフロントのこわばり感も綺麗に解消しています。それでいて、ハンドリングは極めてレスポンスが良く、かつリニアな感触です。
っというわけで、製品版は最高の仕上がりになっています。記事のタイトルにあるVariantの説明が最後になりましたが、先日Variant への装着確認を完了しましたので、Variant用のラインナップを販売に加えました。Variant用のフロントブラケットは上記説明のHatchback用と同じ最新版で、リアの装着は専用の構成になります。各グレードの車両への装着実績が十分足りるまで当面の間、maniacs STADIUMでの装着に限らせて頂きますので、Webshop通販はもう少々お待ち下さい。
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