maniacs 工房長 大谷です。現代の全てのエンジンのヘッド部分には、吸排気バルブを動かすためのカムシャフトがあり、このカムシャフトは「タイミングベルト」または「タイミングチェーン」で駆動されています。ベルトが使われているか、チェーンが使われているかはエンジンによって異なり、VW/Audiでも両方のタイプのエンジンが存在します。っで、最近は世間でも取り沙汰されてご存じの方も多いかもしれませんが、タイミングチェーン式のエンジンは、ちょっと要注意なのです。

自分の車にタイミングチェーンが使われているかどうかの簡便的な調べ方ですが、まずエンジン形式のアルファベット3桁を車検証で確認してください。工房長の所有車Audi A1はCAXで、A3はCXSです。次に、Googleで「形式名 タイミングチェーン」等のワードで検索します。例えば「CAX  タイミングチェーン」でググると関連記事が複数ヒットして、A1のCAXエンジンはタイミングチェーン式と分かります。「CXS タイミングチェーン」でググるとそれらしい情報がヒットしませんので、A3のCXSはタイミングベルトだと分かります。または、こちらのサイトには(完全な情報でない可能性がありますが)一覧が掲載されています。

(補足:一昔前まで「タイミングベルトは切れたり歯の山が飛んだりするので要注意」と言われていましたが、2005年頃より以降のVW/Audiの車はタイミングベルトが幅広で丈夫になっており、問題はほとんど起きません。金属のチェーンは一見するとベルトより何倍も頑丈そうな印象ですが、実際はタイミングチェーンの方が問題が生じ易いです)

チェーン04チェーン03








っで、何が要注意かと申しますと、欧州車のエンジンは、ほぼ全般的に言われていることですが、このタイミングチェーンが摩耗により延び易いという問題があります。上手に使った場合は10万キロ以上の耐久性がありますが、管理が悪かったり、使い方が悪いと、数万キロで延びが生じます。タイミングチェーンが摩耗して延びてしまった際に、早目に気づいて対処すればチェーンの交換だけで済みますが(それでも結構な出費になります)、状態の悪いまま乗り続けると吸気バルブやピストンを破損して大修理(または廃車)になります。

VW/Audiのエンジンも例外でなく(っというか、欧州車の中でもチェーンの材質が軟らかく)タイミングチェーン式のエンジンが数万キロでその事象に見舞われてしまうケースがあります。一番の対策は、マメにオイル交換を行うことです。オイルの潤滑性能低下(=劣化)や、オイル中のカーボン等の不純物(=汚れ)がチェーンの摩耗を著しく促進するためです。VW/Audiではロングライフオイルの交換サイクルを15,000キロとしていますが、タイミングチェーン式のエンジンに関してこの数字を鵜呑みにするのは、リスクが大きいです。工房長自身はA1(8XCAX)のオイルを概ね4,000キロ前後で交換しています。

チェーン01チェーン02








タイミングチェーンがなぜ摩耗し易いかというと、チェーンのコマとコマをピンで繋いでいる部分の潤滑条件が非常に厳しいためです。コマは何十個も連なっており、その繋ぎ目の数だけピンがあって、その全ての箇所が一様に厳しいのです。チェーンの動きは、一見するとスプロケットからスプロケットへとダイナミックに走り回っていますが、一つのコマと隣のコマの繋ぎ目に着目すると、真っ直ぐの状態と僅かに屈曲した状態を交互に繰り返しているだけで、ちっともダイナミックでない微小な動きであることが分かります。繋ぎ目のピンは回転せずに、狭い角度範囲で、しかもテンションが掛った状態で、僅かに回っては戻る動作を何万回も繰り返します。

一般的に「軸の潤滑」は、軸が回転する際に、軸と受けとの間に油膜が形成されることで、金属と金属が直接擦り合うことを防ぎ、摩耗を防止しています。これが回転でなく狭い角度範囲で僅かの正逆転を繰り返しますと、間のオイルは順方向と逆方向に交互に押し出されてしまい、油膜が途切れて金属同士が接触するのがイメージできると思います。加えて、チェーンのピン摺動部は隙間が狭いため、オイルに添加されている粘度指数向上剤、油性向上剤などの分子量の大きな成分が入り込みにくく、上等なオイルを使っていても、いちばん肝心な箇所ではオイルの実質的な粘度や油膜強度が低下します。

そしてピンが回転しないので、その箇所のオイルは入れ替わりが遅くて劣化が進み易く、しかも回転しないピンは常に同じ箇所が当たっていて、そちら側だけが繰り返し擦れます。かくして、厳しさが更に厳しさを招くようにして、チェーンは摩耗し、延びていきます。そして、ピン1つあたり100分の何ミリか摩耗しただけで全体では数ミリの延びになり、エンジンが危険な状態になるのです。

image6image5









このタイミーングチェーンの摩耗防止に、m+ FRICTION FREE OPTIMIZERが非常に有効です。普通の摩擦軽減剤(=FM剤:フリクションモディファイヤー)は中程度までの圧力で良く効くものが多く、高圧〜極圧の条件下では十分に効きません。一方で極圧剤の多くは、通常圧力では何らの効果もないか、または局所の焼き付きを防止する代わりに長期的には摩耗を促進してしまう等、いずれもチェーンの摩耗防止に最適ではありません。じつのところ、自分の8XCAXのチェーンを摩耗させたくない、という調査がきっかけで最終的にこの添加剤の商品化に至ったと言っても過言ではありません。

m+ FRICTION FREE OPTIMIZERの成分である、IF-WS2は単一成分で通常圧力〜極圧まで一貫して高い効果を発揮できる、ほぼ唯一の添加剤です。ナノサイズの分子はチェーンのコマとピンの摺動部分の狭い隙間にも入り込むことができ、上記の屈曲運動の繰り返しに対しても、金属同士が直接接触するのを防ぎます。また温度条件に左右されずに性能が安定しており、真冬のエンジン始動直後から真夏の厳しい運転条件まで、あらゆる状況において摩擦低減と摩耗防止の効果を発揮し続けます。さらに、IF-WS2は耐熱、耐圧、耐久に優れ殆ど劣化しないので、オイルの入れ替わり難い局所でも潤滑効果を維持できます。まさに、タイミングチェーンの摩耗防止にうってつけです。

M02M22







タイミングチェーン式エンジンの車両は、世間では「気をつけて運転した方が良い」と言われることも多く、すなわち「エンジンの回転を上げない」とか「アクセルをできるだけON/OFFしない」とか言われたりしますが、常に気を使って運転するのは疲れますし、「擦り減るんじゃないか」と心配しながら車を走らせてもちっとも楽しくありません。m+ FRICTION FREE OPTIMIZERを投入しておけば、へんに気を使わずに、安心して普通に運転できるので、非常にお奨めです。

m+ FRICTION FREE OPTIMIZER (Sサイズ 100ml)
m+ FRICTION FREE OPTIMIZER (Mサイズ 140ml)