工房長です。先日Audi用のS-tronicパドルプログレスを発売しましてから「Golf7用パドルエクステンションの方はいつ出ますか?」というお問い合わせを今まで以上にたくさん頂戴するようになりました。maniacs製品にご期待をお寄せくださって本当にありがとうございます。7/23に日程感のご説明をしましてからは比較的順調に進んでおり、8月末までの発売開始を目指して鋭意開発中です。現在、量産化の最後の詰めを行っています。

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さて開発記の方は、Golf7用maniacsパドルエクステンション開発記(3)で内部構造の設計を完了したところまで説明しました。その後の開発進捗をご説明します。0次試作のクレイモックアップ、1次試作の切削品ソリッドモデルを経て、内部構造まで忠実に作り込んだ2次試作モデルを、もう一度プラスチックの切削加工で製作しました。そしてその試作品ができ上がってきました。構造確認ですのでバラストも試作してます。こちらはスチールの板を形状データどおり正確にレーザーでカットしました。

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試作パーツが4ピースありありますが、4つ目の部品は実はオプションの「ハニカム・インレイ」です。っと言いつつ、結論から申しますとこのオプションは構想〜試作まででボツになりました(苦笑)。後付けでカチャリと嵌る装着構造も上手くいったのですが、若干クドイ感じかなと。これを採り入れると製品化に向けての調整項目が増えて発売が遅れる可能性もあり、残念ながら不採用。製品化の影には、けっこうイイ線いってるけどもう一息でボツになる無数のアイディアが存在する、という一例でした。

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さて、気を取り直して2次試作品の確認です。白いプラスチックの素地では、なんだか雰囲気が分からないということで、2次試作品は製品並みに塗装まで行いました。塗装をしてみると思った以上にイイ感じですね。そして各部品の形状に違和感がないかや、製造性、組み立て性も細かくチェックしていきます。とくに薄いフィン状の部分とシルバーの棒状の部分を接合する箇所が気掛かりだったのですが、綺麗に納まっています。設計上の大きな不具合がないことが分かり、ほっと一安心。

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実際にステアリングに装着し、それから車両にも装着して評価しました。外観のマッチングは狙い通りで申し分ありません。シルバーの棒状の力強い陰影がステアリングスポークの枠ぶちと絶妙に融和。そして奥行き方向に段違いになった縦捻じれと横捻じれのような関係が独特の立体感を醸し出しています。裏面から見てもしっかりとGolf7世代を感じさせる隙のなさ。作者自身の期待をも超える印象の良さです(笑)。雑誌等に紹介していただいた写真も、実はこの2次試作品です。

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っと悦に入っているわけにはいきません。製品化に向けた細かい詰めの作業が、まだまだ山ほどあります。左のスライドはその一例ですが、裏面のリブ状のデザインの裏側、つまり両面テープを貼る面の形状です。外観面ではないのですが、こういう部分の細かな形状をしっかり詰めるかどうかで、量産時の製造品質が違ってきます。真ん中のスライドも組み立ててしまうと見えなくなる部分です。こういうところも妥協なく詰めていきます。そして右のスライドで成型の射出ゲート位置を決めています。

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そして製品化前のいよいよ最も重要な作業、外観デザインの細部の仕上げです。この2次試作の状態のままでも、おそらく50cm離れて見たらもう十分なのですが、しかし至近距離から見た場合の完成度というのは細かなな部分が意外なほど効いてくるのです。ここからがmaniacsのmaniacsたるところ。じっくりと舐めまわすように各部を観察して、違和感がないか、形状のバランスが最適になっているか、時間を掛けてチェックし尽くします。

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製品化に向けてのデザインの仕上げとは、例えば左スライドではボツになったオプション部品のために仕込んだフィン形状の段差を消してフィンの断面形状を再構成しています。真ん中のスライドでは、各部の角の丸み(Rと言います)を指定しています(ノウハウなので、数値情報は伏せています)。右のスライドでは、裏面のリブの形状を微調整しています。他にも諸々。そうして、ようやく製品版の設計が確定。いよいよ金型の製作にGO!を掛けます。もう後戻りは許されません。(つづく)