工房長です。たいへんお待たせしました。S-tronic Paddle Progressの開発進捗につきまして、前回のS-tronic Paddle Progress 開発記(7)で、金型の最終調整までをお伝えしました。しばらく間が空いてしまいましたが、ついに完成しました!!長かった開発記の完結編です。

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最終調整で、車両のパドルに対しての装着のクリアランスを0.1mm単で合わせ、それからインサートモールドのバラストの位置が正確に決まるよう、これまた0.1mm単位で合わせます。トライをして、確認評価を行って、金型を微調整するという作業。上手くいくときはほとんど一発で決まるのですが、今回は思った以上の回数の調整が入り、開発期間が延びてしまいました。

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そして完成した金型で、量産の成型条件を詰めます。条件を何通りも振って慎重に評価する必要があります。成型の出来栄えは塗装してみないと分からない項目もあり、トライしては塗装をして評価するという繰り返しです。そしてこの期に及んで成型条件の絡みで、金型の射出ゲート部分をもう一回調整。ようやく納得のいく安定度で成型できるようになりました。

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両面テープの形状も再調整。試作はカッティングプロッターで行いましたが、量産は型を起こすのでどうせなら格好良い方が良いです。塗装色は、試作までは既製の色を用いていましたが、製品はより正確に色合わせを行います。ブラックは単純な艶消し黒ではなく、内装色に合わせて専用の調色を行い、通常のアクリル系やウレタン系塗料ではなく、耐摩耗グレードの塗料を用いています。

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設計から1年以上掛かりましたが、ついに製品が完成!Audiの車両に相応しい品質に仕上がったと思います。ステアリングと同芯で奥行き方向も一定となる操作部、その必然性のために微妙に捻じれて湾曲した面構成が無駄のない美しさを感じさせます。ディンプルとリブを配した控えめのデザインが、形状の精度や質感と相まって、独特の存在感を醸し出しています。

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そして、いよいよ発売準備の最終段階です。商品のワクワク感や品質感を表現するよう、拘ってデザインしたパッケージが部材が入荷しました。商品の納まり具合もピッタリと決まりました。中仕切紙の表面は、S-tronicによるエンジン&ミッションの統合制御をイメージした電子回路と、効率的なパワー伝達をイメージした走行性能曲線をモチーフにし、裏面は説明書になっています。

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開発段階から当社のA3にはプロトタイプを装着して走行評価を行ってきましたが、発売を目前にしてそのプロトタイプから製品版に付け替えました。うん、実にイイ感じです。ピシッとフィットする装着感、違和感の全くないデザイン、そして極めて自然な操作性。それでいて、ちゃんと「付けた感」を味わうことができ、Audi本来のドライビングプレジャーを高めてくれます。自信を持ってお奨めする一品です。

maniacs S-tronic Paddle Progress(商品ページ)