写真 前回の続きです。前回の執筆後にもお客さまに再度ご質問を受けました。「Audi TT (8N)に乗っています。オイル交換に伺いたいのですが、おいくらでしょうか?」。そこで当店のショップマネージャーが、MOTUL SPECIFIC(VW 502.00/503.00/ 503.01/505.00/505.01/506.01/504.00/507.00 の認証を取得しているVW/Audi専用オイルといっても過言ではないオイル)をオススメしたところ、「もっと安いオイルはないのですか?」と聞かれました。これより安いオイルは、VW/Audi純正オイルなので、その価格をお伝えしたところ、それでも高かったようです。残念ではありますが、価値観は個々異なりますので、仕様がありません。しかし、このオイルの価格は本当に高いのでしょうか? それは前回リンクした、フォルクスワーゲングループジャパンの「エンジンオイルの正しい管理」にも記載されています。つまり正しくロングライフとして使用する限りは維持コストで考えると確実に安価です。恐らくお客さまがお感じになった「高い」というのは、3,000KMや5,000KM毎に1万円以上を払うのは、ちょっと...ということだと思います。それは私もそう思います。

この3,000KMや5,000KM毎にオイルを交換するというのはかなり根強い信仰に近いものを感じます。なぜそのような事が起こっているかといいますと、現在、maniacsのお客さまの一番のボリュームゾーンは、35歳〜50歳くらいの方です。この方々は、一番クルマに夢中になって勉強した年齢は今から20年〜30年近く前です。その時の記憶がしっかり焼き付いています。さらに、自動車用品店のオイルコーナーでは、3,000KMでの交換がオススメだと今でもデカデカと書いてあり、それは20年前から変化がありません。

しかし、最新の欧州車は、それは該当しません。それでも「そんな事はないだろう。ショップでは、やはり5,000KMくらいで交換した方がいいと言われたけど...」と思われるかも知れません。それは本当です。前回も書きましたが「交換しなくていい」ことと、「交換してはいけない」ことは異なります。あとは、交換したいかどうかという思い入れの問題に行き着きます。

話は変わりますが、自宅にあるエアコン。このフィルターの清掃、正直面倒ですよね。これがメンテナンスフリーになれば、本当に嬉しいですが、現状時々清掃しなくてはなりません。これも20年前のエアコンと比較すると、もしかしたら清掃頻度が減少していたり、メンテナンスが容易になっているのかも知れません。ところで、クルマはどうでしょうか。20年前では考えられないくらいメンテナンスは楽になっています。

でも、本当かな?と思いますよね。それはクルマが、エアコンと違い、とても好きで、出来だけいい状態で乗っていたいと思う気持ちが疑念を抱かせます。エアコンには出来れば触りたくありませんが、クルマには触って、良い状態をキープしたいと思う訳です。これが「思い入れ」です。クルマは白物家電ではないのです。

さあ、ここでフラットになってメーカーが公表している事を様々なバイアスを取り払い読んでみましょう。そうです、これが現在のオイル交換なのです。この上で、どうするのかを次回は考えてみたいと思います。