(工房長です。BEZELの製作記を、当時の文章のまま再アップしています)

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名前は、「ベゼル」です!・・・けっして「リング」とか「カバー」じゃないんです。ダイバーズ・ウォッチの質実剛健な回転ベゼル、ドレス・ウォッチのダイヤモンドをちりばめた飾りベゼル、指輪などに宝石を固定する枠の部分もベゼルと言います。そうです、これはキーシリンダーのベゼルなんです。ノーマルのプラスチックのキーシリンダーと比較してみてください。素敵だと思いませんか。

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材質は、ステンレス・ソリッド(SUS303無垢材)、削り出しです。写真は、完成状態ではなく、ドーナツ状の平面部分に、「LOCK」「ACC」などの表示が付加されます。

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っが、じつは技術的な問題が...。開発評価の段階で、なんとイモビライザーが誤作動するという問題が見つかったのです。誤作動の様子は、こんな感じ。キーシリンダーのドーナツ状の黒いプラスチック部分は、コイルが内蔵されています。そのコイルで、キーに仕込んだICチップに給電しながら、通信を行なって不正始動を防止しています。その通信を阻害してしまうわけです。

いろいろ試してみると、どうやら電磁波をシールドしていると言うよりも、ステンレスの無垢材が電波吸収体のような役を果たしているようです。もちろん、SUS303は非磁性体なのですが、こういうことが起こるんですね。

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しかし、そんなことくらいでへこたれる工房長ではありません(爆)。原因と、対策を探るために、さっそくベゼルの加工に取り掛かります。いったい、どの部分がイモビの通信を阻害しているのか?ベゼルのデザインを変えれば、誤動作はなくなるのか?硬いステンレスのベゼルを、手加工でいろいろな形に削ってしていきます。しかし、イモビの通信を確保できるようにすると、今度はデザイン的に無理のあるものになってしまい、何とも苦しい展開です。

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もちろん、通常のリモコンキーだけでなく、エマージェンシー用のプラスティックキーでも、100%確実にイモビライザーが通信する必要があります。ベゼルを少しずつ加工しながら、いろいろな条件で試していきます。加工を繰り返し、形状を変え、材質もアルミに変えたりして、何度も実験したのですが、maniacsの製品としてお出しできるレベルには至らず。もうチョットのところなんですが。現時点では、一旦断念せざるを得ないとの判断です。

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実は、結構な数を仕込んでいたのですが、残念! 製品化一歩手前で、お蔵入りです。楽しみにしていた皆様には、本当に申し訳ありません。考えてみると、そもそもキーシリンダーが無骨なプラスチックで出来ている理由自体が、イモビライザーの機能のためではないかと...。そこに金属を被せようとすること自体が、無理なのか...。

しかし、これで諦めてしまう工房長ではありません。maniacsでは、このベゼル、必ずリベンジします。技術開発に少し時間が掛かると思いますが、ご期待ください。引き続き、応援よろしくお願いいたします。