maniacs 工房長 大谷です。VW/Audiの2.0T、1.8Tエンジンは、経年によりクーラントの滲みや漏れが比較的発生し易く、早い場合は3年くらいでも漏れてしまう事例があります。このクーラント漏れの修理ですが、maniacsではおそらく一般のディーラーさん以上に多くの事例を扱っていて、この記事この記事この記事にも書きましたが、弱点の箇所とか、できるだけリーズナブルに修理する方法とか、ノウハウを蓄積しています。

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当該2.0Tエンジンのクーラント漏れで、わりと深刻かつ修理に費用が掛るのは、上の各記事にあるウォーターポンプとサーモスタットのハウジングのクラックですが、実はクーラント漏れを起こすリスクの高い箇所がもう一箇所あります。それは、写真の黄色矢印の箇所で、エンジンヘッドのウォータージャケットの最上部からエアをリザーバー側に抜くためのジョイントアダプターです。

ノーマルのジョイントアダプターは強化プラスチック製で、それ自体がとくに弱いわけではないのですが、装着されている位置がタービンの直近なので、その高熱によってプラスチックの材質がヤラれてしまうようです。ジョイントをエンジンヘッドに挿し込む部分にクラックが入ったり、最悪はジョイントをホースに繋ぐ首の部分が折れてしまいます。

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maniacsの作業事例で、前記のウォーターポンプ付近の水漏れを修理完了して納車し、その僅か数週間後に今度はこのジョイントアダプターから水漏れ、というケースがありました。ぜんぜん別の箇所なのですが、お客様の印象としては「ちゃんと直ってない」というイメージになってしいます。そのため、ウォーターポンプのハウジングからの水漏れで修理入庫したお車も、maniacsでは同時作業でこのヘッド部分にあるジョイントアダプターを新品に交換(予防交換)させていただいています。

ただ、これ、純正の新品部品に交換しましても、ターボの熱による劣化ですので、また同じくらいの期間を同じ様にお乗りになると、再度同じようにリスクが高まります。っというわけで、現在このジョイントアダプターを金属製に置換える、強化部品をmaniacsで開発中です。念のため2タイプを試作して評価し、良い方で商品化する予定です。修理時に強化部品を使用するか、もしくは前もって予防交換しておけば、ここから水漏れするリスクをなくせます。

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このジョイントアダプター、恐らく世界的にはかなりの数が水漏れを起こしていると思われますが、なぜかGolf8 GTIでも同じ強化プラスチック製の部品が継続して使われています。余計な心配ごとは無い方が良いという意味で、金属製部品に交換しておく方が安心、安全と考えます。設計完了して試作段階ですので、製品化の目処が立ちましたら、またご紹介して参ります。もう暫くお待ちください。