maniacs 工房長 大谷です。DSG/S-tronicに関して、オーナーの皆様の関心が非常に高く、とくにDCTオイル交換についてはお問い合わせを多くいただきます。いくつか、典型的なご質問とその回答をご紹介いたします。

【Q1】オイルを交換すると故障の原因になるとネットで読んだのですが、大丈夫ですか?
【A1】
「オイル交換をすると故障の原因になる」という説明は、トルコンATに関するものです。トルコンATの、いわゆる「オートマオイル」を交換する場合、施工が不適切だと不調や故障になります。これは複雑な油圧回路にエアが残ってしまう、または堆積した汚れが新油の清浄効果で剥がれて詰まる、等の原因が考えられ、トルコンATに特有のものです。トルコンATのオイル交換については、設備、技術、経験のある施工店でご相談ください。

DCTはトルコンATとは構造が全く異なります。同様のリスクの対象になる箇所がないため「オイル交換をすると故障の原因になる」という説明には該当しません。乾式DCT、湿式DCTともに、オイル交換によって不調や故障が発生することはありませんので、安心して施工ご依頼ください。また湿式DCTは60,000km毎の交換が「推奨」ではなく「必要」ですので、故障させたくなければ必ず実施してください。

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【Q2】他店ではDCT専用オイルを使用すると聞きましたが、ギアオイルでも良いのでしょうか?
【A2】
湿式DCTと乾式DCTで、使用するオイルが異なります。湿式DCTには、DCT専用オイルを使用する必要があり、もちろん当社でもDCT専用オイルを使用しています。乾式DCTは新車時からギアオイルが使用されており、交換する際にもギアオイルを使用します。

違いの理由は、湿式DCTはオイルの中にクラッチが一緒に浸かっており、それに対応したオイルが必要です。DCT専用オイルはトルコンAT用オイルに近い性質で、湿式クラッチに対応しています。一方、乾式DCTのギアボックスはMT(=マニュアルトランスミッション)とほぼ同等なので、MT同様に粘度の高いギアオイルが適用となっています。

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【Q3】湿式DCTなのですが、メカトロニック作動油も交換してもらえますか?
【A3】
湿式DCTは、メカトロニックがDCT本体と一体化した構造になっており、DCTオイルがメカトロニック作動油も兼ねています。つまりDCTオイルを交換すれば、必然的にメカトロニック作動油も一緒に交換したことになります。従って、DCTオイル交換だけでOKです。

乾式DCTは、メカトロニックがDCT本体と独立しています。乾式DCTの本体には粘度の高いギアオイルが使用されていて、メカトロニック作動油はそれと別に粘度の低い油圧回路作動用のオイルが使用されています。そのため、乾式のメカトロニック作動油を交換する場合は、DCTオイル交換とは別個に交換することになります。

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【Q4】DCTキャリブレーションとは何ですか? 実施した方が良いですか?
【A4】
DCTキャリブレーションは、簡単化して説明しますと、クラッチの「遊び」と「踏みしろ」の学習値をリセットして、メカトロニックに再学習させるものです。湿式DCTは、クラッチがDCTオイルに浸っているので、オイル交換によりクラッチの繋がり加減が変わる可能性があり、キャリブレーションによる再学習が推奨です。よって、当社では湿式DCTのオイル交換後には原則としてキャリブレーションを行います。当社のDCTオイル交換施工料金の中には、キャリブレーションの施工も含んでおります。

乾式DCTは、ギアボックスの外にクラッチがあり、オイル交換してもクラッチには関係ないので、キャリブレーションは、やってもやらなくても良いです。キャリブレーションを行うと「遊び」と「踏みしろ」を再学習し、それまでのクラッチ摩耗によるズレがリセットされますが、走行中に学習したこともリセットされて、もう一度それらの学習を完了するまでにある程度の距離を要します。

当社では、乾式DCTのオイル交換後のキャリブレーションを実際に何台か施工して、いずれも概ね調子が良くなる方向の変化があり、悪影響が出たケースはなかったので、とくにご指定がない場合はキャリブレーションを原則として実施します。クラッチ摩耗による多少の不調(ギアチェンジの際に半クラッチ感がある、またはクラッチミートの遅れによる変速ショックがある等)は、キャリブレーションによって改善する場合も多いです。

DCTキャリブレーションの施工後はクラッチの繋がりが僅かに早くなったと感じる場合があり、ラフなアクセル操作では半クラッチになる瞬間のショックが出易くなる場合もありますので、しばらくは丁寧なアクセル操作を心がける必要があります。

【2022.6.25追記】
2022年6月25日から、当社での乾式DCTオイル交換の際、DCTキャリブレーションは原則として行わない方針に変更しました。詳細は、こちらの記事をご覧ください。(追記ここまで)

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【Q5】2014年式で 32,000kmなのですが、交換した方が良いですか?
【A5】
湿式DCTのオイル交換は、VW/Audiで60,000km毎の交換が必要とされており、maniacsでは60,000km以内での交換を推奨します。湿式DCTはオイルの中にクラッチが浸ってるのでオイルが劣化し易く、またDCTオイルがメカトロニック作動油も兼ねているのでオイルの劣化が故障の要因になるリスクがあります。従って、車検や点検でご入庫の際に50,000kmを超えている場合は、少し早めですが交換作業をご紹介しています。あまり飛ばさず丁寧に運転している場合は、60,000kmギリギリまで引っ張っても問題ないと思います。

乾式DCTのオイル交換は、VW/Audiではとくに指定されていません。maniacsでは、乾式DCTのギアボックスはMTと同等と理解しているので、やはり50,000kmを超えたら交換推奨としています。DCT本体がメカトロニックと独立した構造なので、DCTオイルが劣化しても症状は顕在化しにくく、オイル劣化が原因で重大故障に至るリスクも少ないと思われますが、ギアボックス自体を良好な状態に保つためのメンテナンスです。

2014年式の 32,000kmは、距離的にはまだ大丈夫ですが、7〜8年を経過していますのでオイルの経年劣化も考えられ、そろそろ交換しても良い時期かと思います。または、あと2〜3年乗ったらお車を手放すつもり等の場合は、走行ペースから推測しておそらく50,000km以下に納まるはずなので、コストミニマムのご意向でしたら、そのままでも良いかもしれません。

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【Q6】乾式DCTで、オイルフィルタも交換してもらえますか?
【A6】
乾式DCTにはオイルフィルタがないので、従ってフィルタ交換は不要です。メカトロニック作動油にもフィルタ交換はありません。

以上、よくあるご質問をまとめてみました。

maniacs DCTオイル交換各種(Webshopページ)

お車のコンディションを維持し、末長く快調にお乗りになるためには必要なメンテナンスですので、該当の距離または時期に差し掛かっているお車は、ぜひご検討ください。