maniacs 工房長 大谷です。maniacs STADIUMの法定点検と車検はたいへんご好評をいただき、ご依頼件数も増えております。その結果、大半のお客様にはご満足いただいている一方で、お客様のご期待とミスマッチするケースも稀に発生し、そのようなケースではお客様にご迷惑をお掛けしてしまうことが起きています。大変申し訳なく、この場をお借りして改めてお詫びいたします。

ご期待とのミスマッチは、当社の事前説明不足が主な原因です。法定点検および車検について全体をご説明するのは長大な文章になってしまうので、ミスマッチの事例があったものからご説明いたします。

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今回ご説明しますのは、この画像のステッカーです。「点検済みステッカー」通称は「ダイヤルステッカー」と言います。法定12ヶ月点検、法定24ヶ月点検を行った際に、このステッカーがフロントグラスに貼られる(整備事業者が貼ってくれる)場合がありますが、maniacsではダイヤルステッカーの貼付けを行っていません。以下その理由を正確に、詳しく説明します。

ダイヤルステッカーを発行管理しているのは「自動車整備振興会」です。自動車整備振興会(連合会)は国土交通省の認可を受けて、整備士育成などの権限委譲も受けている公益団体です。上記のダイヤルステッカーも国土交通大臣が「貼付けても良い」ことを認めており、表示の期限内はフロントグラスに貼った状態で合法的に公道を走行できます。「貼って良いかどうか」に関しては特権を与えられたステッカーです。

一方で自動車整備振興会は任意加入の業界団体(事業者団体)であり、各整備工場はそれに加入する義務や必然性はとくにありません。ダイヤルステッカーはフロントグラスに貼付けても良い特権を受けてはいますが、そのステッカーの意味するところは次回点検時期の備忘メモであり、貼る義務も責任も必要もないですし、貼っても制度上の何らの効力もありません。単に業界団体が作ったステッカーです。

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さて、全ての自家用車は、12ヶ月ごどの法定点検が義務づけられています。自家用車の法定点検には、26項目の「12ヶ月点検」と56項目の「24ヶ月点検」の二通りがあります。用語から「新車2年目はどうなるのか?」という疑問が湧きますが、新車から1年目、2年目はどちらも「12ヶ月点検」で良く、3年目以降の奇数年目が「24ヶ月点検」になります。法律でそのように決まっています。

12ヶ月点検、24ヶ月点検は、自家用車のオーナー(車検証上の使用者)の責任で実施する義務がありますが、やらなかった場合の罰則はありません。このため義務でないかのような言説も散見されますが、それは誤りです。点検は義務であり、それを称して「法定点検」と言います。実施しなければ「義務違反」です、ただ罰則がないというだけです。

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その法定点検は、maniacs STADIUMで実施できます。maniacsは自動車分解整備事業の認証を受けた、いわゆる認証工場です。認証番号は「関東運輸局 第2-5884号」、写真はmaniacs STADIUMのピットに常時掲示している「認証標識」です。これをもって、はじめて業(=プロフェッショナル)としてお客様の自動車の分解整備を承ることができるのです。もちろん法定点検も業として承り、点検整備記録簿は、認証工場の立場で、有資格者(=国家資格整備士)が記録してお客様にお渡ししています。下左写真は、実際の記入例です。

法定点検のうち、奇数年目の「24ヶ月点検」は車検と同時に実施するケースが殆どですので、車検と24カ月点検は混同されることが多いですが、実は別のものです(違いについては話が逸れるので次の機会にします)。車検証の記載において、24ヶ月点検の記録簿があるかどうかは「備考欄」に記載されます。下右写真はmaniacs STADIUMで24ヶ月法定点検と車検を行った車検証の例で、下線部がそれを示しています。その車検時も、ダイヤルステッカーを貼る必要はありません。

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このように、認証工場で有資格者が点検を実施することと、ダイヤルステッカーを貼るかどうかは連動していないのですが、世間では(とくに多少お詳しいお客様の方がむしろ)誤解されている場合があります。誤解される理由は、インターネットなどで誤解を誘導するような説明が非常に多いためです。どのように誘導されるかというと
「ダイヤルステッカーがないのは認証工場でない」
「ダイヤルステッカーがないのは有資格者による点検でない」
「ダイヤルステッカーがないのは正規の法定点検でない」

という類の誤解
です。

その下敷きとして、法定点検はオーナーが自分でやっても良く、車好きの友達に頼んでも良いです。法規上は、点検内容がちゃんとしていれば、誰が実施してもOKなのです。車検整備も、資格者が行わなければならないという決まりはありません。無資格の誰かが好意でやってくれてもOKです(業として工賃もらって分解整備した場合は違反)。また車検は、点検や整備をせずに車検を通すだけなら、認証や資格のない第三者が、業として(料金を伴って)代行もできます。

もちろん、それらは法的にOKなだけで、実際にはお奨めできません。そのこととダイヤルステッカーの有無を混同するように誘導されるのです。例えば、

「ダイヤルステッカー」をグーグルで検索すると上位に表示されるサイト
つなぎが点検整備済ステッカーのひみつを教えるのです!(京都府自動車整備振興会)

また、もしmaniacs STADIUMが加入するとしたら所属するであろうサイト
認証工場と代行業者の違い(神奈川県自動車整備振興会)

これらのサイトの説明を読んで、図解を見て、動画を見て、正しい理解に至ることはまず不可能です。いずれのサイトも、ダイヤルステッカーが「十分条件」であることを「必要条件」であるかのように説明しているためです。普通の人が、素直に読むと、ほぼ100%誤解すると思います。実際は、自動車整備振興会に加入することにはメリットもあればデメリットもあるため、認証工場であっても自動車整備振興会に加入していない例は少なくないです。それらの認証工場は法定点検完了時にダイヤルステッカーを貼りません。

では、整備工場が自動車整備振興会に加入するメリットとは何なのかをグーグルで検索すると
自動車整備振興会に入るメリット(OKWAVE)

ひどいベストアンサーですね(苦笑)。軽く脅しのような説明です。ちなみにmaniacs STADIUMは、途中で振興会から脱退したわけでも何でもなく、最初から加入してません。ちゃんと陸運局に申請して、書類審査も実地審査も受けて、それらに合格し、自社で認証を取得しました。振興会の力添えではなく、正規で正道の認証取得です。

もちろん私個人および会社としても、振興会に不賛同とか反骨心は全くなく、地域の同業者が多く所属している団体ですので、摩擦なく(仲良く)やっていきたいのが偽りのない本心です。ダイヤルステッカーが何であるか等を、わざわざ声高に説明してこなかったのは、そうした気持ちのためでもあります。ただ、お客様のご期待にミスマッチの可能性に対しては正確に説明しなければいけません。

保安基準と法定点検を司る国土交通省はダイヤルステッカーに対してどんなスタンスかと申しますと
 自動車点検整備推進協議会(国土交通省)

こちらは国土交通省直轄の組織で、公的立場で点検整備を推進する協議会です。このサイト内を探しても「ダイヤルステッカーを貼りましょう」とか「安心の証し」とか、何も出てきません。

一般のユーザーへの「公報、啓発、調査、指導」は、ポスター、チラシ、ハガキ、SNS、イベント、講習会、アンケート、マズメディア、インターネット等、ありとあらゆる手段と媒体が挙げられて、果ては「庁舎と営業所の館内放送で職員にマイカーの点検整備励行を呼びかけ、所属職員から友人や家族にも点検整備励行を呼びかける」とまで書いてあるのに、ダイヤルステッカーには、じつに一言も触れられていないのです。

このサイトでダイヤルステッカーへの唯一の言及は、トップページのタイトル画3枚目 バカップル 車の点検整備(啓発用の動画)の1分03秒あたりからで、曰く、ゆきぴょんのカバンに貼ってはダメとのことです。ゆきぴょん自身に貼るのもダメ。貼るべきかどうかに多少とも関わる内容は、その2点だけです。まちゃひこが、このステッカーの意味を説明しているのは1分11秒〜1分20秒あたり。「証し(あかし)」「安心」等の言葉は含まれておらず的確です。

つまり、ダイヤルステッカーは、まちゃひこの煮え切らない口調も含めてまさしくその説明通り、それ以上でも以下でもないステッカーです。繰り返しますが、これが国土交通省自動車点検整備推進協議会の公式サイトにおける扱い、公式動画における説明です。

最後にもうひとつ興味深いサイトの例です。こちらも「ダイヤルステッカー」の検索で上位に表示されます。

ダイヤルステッカーについて「点検を受けなくても罰則がないから剥がして良い」というのは、理由の説明が誤りです。無用に貼られたステッカーを剥がして良いのは当然のことです。罰則がないからではありません。剥がす以前に「そもそも貼る必要がなかった」のです。制度上で「点検」と「ステッカー」は無関係であり、貼って欲しくないオーナーからすれば「人様の車に勝手に貼って良いのか?」という話です。愛車にダイヤルステッカーが貼ってあり、デザインが嫌いとか、視界の邪魔に感じる場合は、遠慮なく剥がしてください。

ちなみに上記のサイトで「期間が過ぎたダイヤルステッカーを貼ったままだと違反になる」というのは本当です。フロントガラスに貼って良い特権は表示の期間内だけです。法律どおりに解釈すると、所定期間を過ぎて次回の点検を忘れていても、そのこと自体に罰則はないですが、このステッカーを剥がし忘れていると、それが理由で整備不良車となります。時間の経過で自動的に違反を犯してしまうリスクを避けるには、最初から貼らない方が無難です。

っというわけで、ダイヤルステッカーだけでも長文の説明になりましたが、結論として、maniacs STADIUMでの法定点検および車検は、認証工場の立場で有資格者が実施し、点検整備記録簿に記入、車検証に記載していますが、ダイヤルステッカーは貼っておりません。VW/Audi専門ショップとして豊富な経験とノウハウを有し、確かな技術で対応していると自負しており、点検整備の品質レベルをお仕着せのステッカーで証したいという考えはありません。

ある種「お墨付き」的なニュアンスでダイヤルステッカーを貼りたいご希望のケースも理解しますし、否定はしませんが、maniacsではダイヤルステッカーをご希望いただいても対応できませんので、その点ご了承いただきmaniacsの法定点検をご利用くださいませ。お車を大切にして、点検整備もきちんと実施したい多くのお客様のご来店を、心からお待ちしております。

ありがとうございます。