maniacs工房長 大谷です。車両の「モデルイヤー」について、このところ何件か続けてお問い合わせをいただきました。以前にご説明の記事を掲載していますが、数年経ちますので一部重複しますがあらためてご説明します。

VW/Audiはじめ、原則として世界中の全ての車両にはモデルイヤー(以下、MY)が定義されています。まずは現車でそのMYを確認する方法をご説明します。車両にはISOが定めた個体識別コードであるVIN(=Vehicle Identification Number)がすべからく1台毎に付与されていて、その10桁目の英数字がMYを表しています。

VIN_VW-2
(画像加工によりVINは架空の値です)





VW車の場合は、フロントグラス左下(助手席側の外面)にある17桁の英数字列がVINです。車外からその英数字列を読んでください。ワイパーブレードに隠れている場合はブレードを少し持ち上げると見えます。そしてその10桁目を確認してください。写真はmaniacsの新しいデモカーT-Crossで、10桁目は「L」になっています。

10桁目の英数字がMY何年を指すかは、以下のとおりです。

1980=A 1981=B 1982=C 1983=D 1984=E
1985=F 1986=G 1987=H 1988=J 1989=K
1990=L 1991=M 1992=N 1993=P 1994=R
1995=S 1996=T 1997=V 1998=W 1999=X
2000=Y 2001=1 2002=2 2003=3 2004=4
2005=5 2006=6 2007=7 2008=8 2009=9
2010=A 2011=B 2012=C 2013=D 2014=E
2015=F 2016=G 2017=H 2018=J 2019=K
2020=L 2021=M

maniacsのT-crossは、MY2020だということが判ります。

VIN_Audi
(画像加工によりVINは架空の値です)





Audiの殆どの車両は、運転席のドアを開いてヒンジの近くにあるプレートにVINの表記があります。やはり17桁の英数字列の10桁目がMYです。写真は10桁目が「K」ですので、この車両はMY2019です。

車検証でもVINを確認できます。日本における輸入車の車検証は「車台番号」の欄にVINが記載されています。少し詳述すると、日本国内市場向けの国産車はISOが定めるVINではなく国土交通省が定める車台番号が付与されます。従って日本の車検証では個体識別を車台番号で表記します。日本の制度において、輸入車のVINは車台番号と同等の個体識別コードとみなされます。本来は逆というか日本の方がガラパゴスで倒置した論理ですが(苦笑)、結果的に「車台番号=VIN」の同じ意味と考えて差し支えありません。

VIN_車検証-2
(画像加工によりVINは架空の値です)





写真は工房長のGolf2の車検証ですが、車台番号の記載は現車のVINと当然一致しています。車検証の車台番号の記載は9桁と10桁の間にハイフンがありますがそれは無視します。10桁目の「L」でMYを確認できます。

10桁目の英数字は上記のとおり全部で30種類。アルファベットの「I」「O」「Q」「U」「Z」が禁則文字で残り21種、数字が1〜9で合わせて30です。MYとの紐付け定義は1980年の「A」から始まって30年毎に一巡します。工房長のGolf2は10桁目が「L」で最新のMY2020と同じですがMY1990です。

VW/Audiの日本向け車両は、概ね秋頃(9月、10月など)からMY翌年の車両が導入されます。例えば2020年の夏、7月、8月くらいまでの新車はおそらくMY2020、秋口に新しいMY(=新しい仕様)の車両が導入されて、9月、10月くらいからの新車はMY2021となるのが通例です。

この切り替わり時期は、モデルチェンジ導入等とも関係し、また旧MY車の在庫状況などにもよるので、明確に何月からとは決まっていませんが、概ね秋〜年末に登録の新車は、登録年とMYがズレます。日本では初登録年のことを「年式」と言うので、VW/Audi車の台数全体の4分の1〜3分の1くらいは「年式」と「モデルイヤー」がズレているわけです。このズレはずっと昔からのことで、例えば私のGolf2は1989年12月に初登録、1989年式でMY1990です。

MYが重要な理由ですが、VW/Audiの車両の仕様は、MYを境に変更されている場合が多いです。MY途中でも変更される実情がありつつも、原則的に大きな変更はMYを境に行われることになっています(繰り返しますが、原則があれば例外もあり、MY途中でも仕様変更はあります)。

電子化、ソフトウェア化が進んだ近年の車両は、外観からは全く違いがなくても電気的に大きく変更されていることが多く、その例は枚挙に暇がありません。単に愛車を大切に乗るだけならMYを気にしなくてもまぁ大丈夫なのですが、パーツ装着やカスタマイズを楽しみたい場合は、適合確認等のためにMYが最も基本的な情報になります。

ちなみに、この記事を書くに際してmaniacsのお客様登録の車両情報を見てみたところ、VIN10桁目から判読できるMYと、お客様登録のMYがズレている例が相当数あることが分かりました。このズレの理由は、大半のケースにおいて電話や店頭でMYをお聞きした際に、お客様が年式の方をお答えになったためと推測されます(電話等で「モデルイヤー」の用語が伝わりにくい場合に、簡便的な目安として「年式」でお聞きしている場合もあります)。

MYは愛車の基本的な情報ですので、ぜひ一度ご確認されて、ご所有されている間は把握しておくことをお奨めします。


(以下、余談)
maniacsオリジナルの各種モジュール、クイックホーン、サンクスブリンカー、アイドリングストップは、ECUやコーディングに介入せず、クイックホーンであればステアリングのホーンパッドを押したのと同じこと、サンクスブリンカーであればハザードボタンを押したのと同じこと、アイドリングストップであればそのスイッチを押したのと同じことをしています。

この単純明快な作りが、車種適合の問題を起こさず、複雑なエラーや車両への悪影響が発生しない、高信頼性の源なのですが、それですらMY間の仕様違いのために適合不良を発生した事案がありました。例えば、Golf7_Variantの特定のMYで車両がスリープからディープスリープに移行する瞬間(停車して車両を離れてから3時間後くらい)にハザードスイッチのラインにECU側からパルスノイズが1波だけ発生する、というわけのわからない現象があり、その現象の特定に苦労した記憶があります。MYを甘く見てはいけない、と自分を戒めた次第です。

カスタマイズや通販でのパーツ購入には、ご愛車のMYを把握しておくことが本当に重要で、適合違いによるトラブル等を未然に防ぐための砦となります。