maniacs工房長 大谷です。先日スペシャルオーダーの「OZ純正グリジオコルサブライト色のVW純正センターキャップ」をブログでご紹介しましたところ、記事をご覧くださったお客様から「VW Dynamic Hub Caps と同じ仕掛けのセンターキャップをAudi TT用で製作できませんか?」というお問い合わせを頂戴しました。

VW Dynamic Hub Capsは「ダイナミック」の名のとおり、可動部がありますので難易度が格段に上がります。ざっと検討してみますと、ご希望のセンターキャップを実現するには、1つにつきVW Dynamic Hub Caps×1とAudi純正センターキャップ×2が必要です。「ニコイチ」ならぬ「サンコイチ」、当然工数も相当に掛るので「頑張ればできるかもしれませんが、あまり現実的ではありません」と当初はお断り申し上げました。

しかしお客様のたってのご希望ということで、製作してみることに。いきなり1台分の4つを製作するのは恐ろしいので、まずは1つ目を製作。いろいろ試行錯誤しながら必死の作業なので途中の写真はありませんが、最終的には意外なほど綺麗にまとまりました。ノーマルのAudiセンターキャップからの厚みの増加を最小限にするため、ダイナミックハブの回転部分のクリアランスをギリギリの0.7mmまで詰めています。さて滑らかに動くかどうか。



単体確認ではこんな感じ。期待どおり、イイ感じにスムーズに回転してます。ダイナミックハブの機能をきちんと踏襲できたようです。外観部はAudi純正部品を使用していますので、紛うことなき純正そのものです。メッキの品質は流石のAudi、美しいです。ダイナミックハブ機構はVW純正アクセサリーの可動部をそのまま埋め込んでいるので、滑らかさはそのまま。クリアランスはギリギリですが回転に対する精度を確保したので、問題なしです。

しかし、単体確認だけではまだ安心できません。4つ作ってしまってから「駄目でした」というわけにはいかないので、お客様に遠路ご足労をお掛けして、試着確認のためだけに maniacs STADIUM までお越しいただきました。車両をリフトで上げてホイールを外し、単体にしたホイールに初作の、恐らく世界に1個しかない、Audi Dynamic Hub Capを嵌めてみます。さて、きちんと嵌まって期待通りに可動するかどうか?・・・緊張の一瞬です。



ホイールへの装着は、通常のセンターキャップと同じ感触でパチンと確実に嵌りました。そして嵌めた状態でタイヤを転がすと単体確認と同様に滑らかに可動。成功です。ホイールに対する奥行き関係は、ノーマルに比較してダイナミックハブの機構と回転クリアランスの分だけほんの僅かに出っ張っているのですが、差分を最小限に抑えたので殆ど違和感なし。むしろ微妙に手前に強調されて、思った以上に良い感じです。

ご注文のお客様にも、試着結果をご満足いただけましたので、あと3つ製作して車両に装着することに決定。すぐにその分の部品を手配しました。部品が入りましたら残り3つの加工着手となります。完成して車両に装着するのが楽しみですね。