maniacs工房長 大谷です。maniacs Side Stripeは、従来はmaniacs STADIUMで貼付け作業込みでの販売に限っておりましたが、今年の5月からWebshopで通常販売して大変ご好評いただいております。

サイドストライプの貼り方については、以前にOettinger Side Stripeの貼り付け作業を行いました!の記事の中で一通りご説明し、大筋はそれと共通なのですが、今回は実際に工房長がどんな感じに作業しているのか、カッコ良く真っ直ぐに貼るコツを含めて丁寧に説明します。必ずしもこれと同じ手間を掛ける必要はないですが、参考になれば幸いです。

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まず、貼り物全般に共通ですが、貼りつける付近のボディを綺麗にします。maniacsにお越しくださるお客様は綺麗に洗車してお越しくださることが殆どですが、ここまで走ってくる間の埃などが付着していますので、綺麗にクリーニングします。実際に貼り着ける個所だけでなく、最低限そのパネル1枚はクリーンにしておくのが、綺麗に貼り付けるコツでもあります。

実際に貼る個所は、子細に観察して、タールやピッチ汚れ(=道路のアスファルトの油分など)、鉄粉のザラザラ感、ホワイトや淡色の車両は水垢やくすみがあれば、できるだけ綺麗にします。maniacsでの作業でも、それらの汚れがある場合は、実際の貼付けより下地のクリーニングの方が時間が掛ってしまうこともあります。下地クリーニングは非常に重要なので、簡略にしてはいけません。

今回はとても綺麗な車両でしたので、スピードシャインで一通り拭いただけでクリーニング完了しました。

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クリーニングの後は、ボディ面に回り込ませて貼る個所を、重点的にクリーニングして脱脂も行います。maniacs Side Stripeの場合は、フロントドアの前端を内側に回り込ませて貼るので、ドアの前のエッジ、そこから回り込んだ裏側まで綺麗にクリーニング、脱脂してください。回り込んだ面は、ドアを開いて裏側からも脱脂します。ドアを開け閉めする際は手を挟まないように、とくにヒンジ側(=支点のある方、前側)に手を入れる際は十分に気をつけてください。

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さて、次が一番重要な工程になります。マスキングテープをドアの稜線にピッタリ合わせて貼ります。ボディ面の稜線は、そのままでは見る角度や光の具合で一定に見えないので、その稜線に並行にストライプを貼るためにはまず稜線がどこかを明確にする必要があるのです。Oettinger Side Stripeの場合は後ろのドアから前のドアまで通して貼る必要がありますが、maniacs Side Stripeの場合は、前のドアの範囲で収まりますので、前ドアのドアハンドル下あたりから前方に貼っていきます。

ここで使うマスキングテープとは、塗装の塗り分け等に使う粘着付きの紙テープです。市販のものでOKで、ホームセンター等では塗料コーナー辺りに売っています。maniacsではニチバンのものを使っています。テープは幅が何種類もあり、この用途には15mm幅がいちばん適しています。15mm幅がない場合は12mm幅でも可能ですが、幅が狭くなると正確な作業が難しくなります。太すぎるのも作業が難しいので、できれば15mm幅のテープを用意してください。

この作業は、慣れていても一発では決まりません。車両のボディ色、光の角度(=つまり作業場所や時間帯)、映り込んでいるもの(=隣にある車両)等によって見え方が違いますし、貼る際のちょっとした加減で1~2mmくらい曲がってしまうからです。始めての場合は、マスキングテープを2~3巻使いきるくらいの覚悟で、じっくり取り組んでください(マスキングテープは3巻150円くらいです)。写真はクリックで拡大します。テープは下端をプレスラインの稜線の頂上にピッタリ合わせるように、貼ります。

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稜線は微妙に湾曲していますので、その湾曲に合わせてテープを微妙に湾曲させて貼る必要があります。ドアハンドル側を貼ったところからテープをドアの前側まで張って、テープのリール側を持った右手をボディ面にゆっくり降ろして行くと、ドアハンドル付近から次第に前の方にテープが貼りついてきます。テープの全長がボディ面に降りたら、テープ幅の下端が後ろから前まで全長に渡って稜線にピッタリ合っているか、目視と触指の両方で確認します。

ズレていれば、ピッタリになるまでやり直します。やり直しは、テープを押さえて貼り付けてなければ、そっと粘着しているだけなので、2~3回までなら同じテープをドアハンドル下の寸前まで剥がして再利用でやり直せます。何度かやり直すうちにテープ自体が曲がってしまい、真っすぐでなくなってきますので、そしたらそのテープは捨てて、ドアハンドル下から貼り直します。テープの1巻は18mくらいあるので、使いきるまでには30回くらいはやり直せます。

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前からスカして見ている視点では、こんな感じに見えます。左写真は奥にピントを合わせてあり、真ん中の写真は手前にピントを合わせていますが、目で観察する場合もこんな感じで見ます。奥から手前まで、綺麗な一息の湾曲になっていることが重要です。テープの下端が稜線にピッタリ合えば、自ずと綺麗な湾曲になります。

稜線に合わせてマスキングテープを貼ったら、その稜線からエンブレムまでの距離を確認します。この距離は、実は車両個体によってかなりのバラつきがあります。この車両は約5mmですが、3mmの車もあれば8mmの車もあります。またエンブレムの高さ以前に、ドアの稜線とフェンダーの稜線が一直線ではなく、段違いになっている車両も多いです。だけでなく、実は左右で違っている場合がほとんどです。これ、知らぬが仏で、知ってしまうと気になる人は気になっちゃうかもしれませんが、左右ほぼ完全に対称に貼ってある車の方がとても少ないです。

エンブレムの高さで申しますと、左右差が2mm以内なら標準的です。それ以上ズレている車両も少なくないです。工業製品として当たり前のことで、通常に乗ったり、眺めたり、洗車したり、という中では多少の誤差や左右非対称は全く実害がない(気付かない)です。この種の作業で、わざわざ稜線を正確にマークして、そこから定規を当てて測ってしまうと始めて気付くわけで、気付いても「そういうものだ」と受け入れて気にし過ぎないことが肝要です。但し、ストライプを貼付ける上では、誤差や左右非対称を把握した上で、どのように辻褄を合わせるかを決める必要があります。

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この車両の場合、左右差は1mmくらいでしたので、かなり優秀な方です。ストライプの太さの上端は、エンブレムの上端に揃えるか、僅かに0.5mmくらい下げて(=立った視点から見下ろした際の視差を補正)貼るのが良いです。仮に右のエンブレムが稜線下6mm、左のエンブレムが稜線した5mmだとしたら、ストライプ全体の高さは稜線下6mmを狙って、エンブレムの手前の数十センチの区間で左は0.5mm上げ方向に、右は0.5mm下げ方向に滑らかに湾曲させて辻褄を合わせる、というような作戦を考えます。

この段階で脱脂も行います。ストライプのテープは定着してしまえば外力が掛ることもないので、さほど必死で脱脂する必要もないですが、ストライプの終端する個所あたりは、少し入念に脱脂しておいた方が良いです。また、ボディコート等の強力な撥水効果で粘着が効かない場合は、ストライプのテープ幅の分だけはコーティングをある程度落とさなければならないケースもあります。今回は、比較的サッと脱脂しただけでOKでした。

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脱脂したら、上記で考えた作戦に従って、稜線をマークしたテープに重ねて、少し(この場合6mm)下の位置にテープを貼り重ねます。さっきと同じように、今度は稜線からのズラし幅が前から後ろまで一定になるように、一息の滑らかな湾曲でテープを貼ります。左右差の辻褄合わせは、どこか一ヶ所にしわ寄せが来ないようにするのがコツです。

例えば、右より左の方を全体的に1mm下げる、右は前端を1mm上方向に湾曲させ左は1mm下方向に湾曲させる、ストライプとバッジとの高さ関係を左右で0.5mmくらい変える、等々の方法を組み合わせて、左右差3mmくらいまでなら良い具合に辻褄を合わせて全く違和感なく仕上げられます。大きなボディパネルの中での数ミリなので、マスキングテープを剥がせば全く分からなくなります。

実際に、稜線下6mmのオフセットでテープを貼ると、上写真のような感じになります。

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作業の後半ではドアを開け閉めするので、その際にマスキングテープが突っ張らないよう、ドアとフェンダーの間はカットしておきます。刃が塗装面に接触しないように気を付けてください。

次に、ストライプテープの準備をします。この種のテープは、ほとんどの場合巻かれた状態になっています。1mのテープが1mのサイズで、2mのテープが2mのサイズで保管されていることは、まずないです。巻かれているものを真っ直ぐに伸ばすと、曲がってた個所が台紙から浮いてヨレヨレした感じになります。すべからく、そういうものだと理解して掛る必要があります。

ストライプテープを左右それぞれにハサミで切って分離してから、手で丁寧に平らにしていきます。この作業で1本あたり10分くらい掛ったりします。キューっとしごいたら一気に真っすぐに伸びるようなものではなく、それどころかしごいて伸ばすようなやり方では、しわを酷くしてしまいます。ヨレヨレしている個所を、1個所づつ丁寧に、騙し騙し少しずつ平らに伸ばしていく感じです。慌てないことが重要で、時間が掛っても丁寧やる必要があります。

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ストライプテープの準備ができたら、貼付けるボディ面に水を吹きかけます。水は水道水でOKですが、1リットル当たりに1~2滴の中性洗剤を加えます。水は十分な量を拭き着けてください。

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次いで、ストライプテープから台紙を端の部分だけ剥がします。maniacs Side Stripeの場合は、テープの上に半透明のアプリケーションシートが被っていますので、テープはアプリケーションシート側に来るように、台紙だけを剥がしてください。台紙を剥がした個所には、すぐに水をたっぷり吹きかけます。露出した粘着面にすぐに水を吹くことで、埃を取り込むリスクを大幅に減らせます。

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いよいよ、ストライプテープをボディに乗せていきます。前端はドアパネルの裏側に折り返す分の8mmくらいをドアの前端よりも前にはみ出させた位置からスタートします。テープの上辺を、マスキングテープにピッタリ当てるようにして貼っていきます。ストライプテープとマスキングテープとの間隔は、0~0.2mmといった感じです。それぞれのテープのエッジが完全に直線ではないので、ずっと0で接するのは無理があります。0.2mmというのは、その直線でない分の吸収です。

一番バッジに近い側の3cmくらいの範囲をボディに押しつけて貼り、その先は完全に貼るのではなくボディの上に置いて、軽く抑えた程度の弱い貼り方で進んでいきます。台紙を引っ張って剥がしながら、新たに現れた粘着面には水を吹きかけ足しながら、少しづつ貼り進めます。このとき、この写真の左手(助手席ドアに貼る際は右手)のテンションも重要で、引っ張り過ぎるとテープが延びてしまいますし、引っ張り足りないと綺麗に真っすぐにならないので、適度に引っ張るのがポイントです。

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そのまま順次後方に貼り進んでいきます。慌てる必要はありません、ゆっくり慎重に。よく、ご自身が不器用だと仰る方がいらっしゃいますが、器用と不器用の最大の違いは、手元をどれだけ良く見ているかだと思います。とにかく手元をガン見する、その癖をつけるだけでも、次第に器用にできるようになっていくと思います。最後の先端のところも、意外と曲がり易いので最後の最後まで曲がらないように丁寧に貼ることで、全体としてハリのあるストライプに仕上がります。

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水を使って貼っていますので、その水をしごきだす作業が必要です。その際に、スクレーパーがボディの塗装面に当たらないように、アプリケーションシートの縁に沿わせるようにして養生テープを貼ります。水が抜けるように、養生テープはアプリケーションシートに被せて貼ってはいけません。沿わせる感じです。

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水をしごいて追い出していきますが、水は上下に追い出します。ストライプが横に長いので、つい横方向にしごきたくなりますが、決して横にしごいてはいけません。横にしごくと、テープがしわになります。上下に水を出しながら、テープを押圧して貼付け、それを5mmくらいづつ横に位置を移動して繰り返し、慎重に進めていきます。このときも、手元を見ます。どのくらい見るかというと、右写真くらいガン見です(笑)。スクレーパーを持つ指先は、テープの下に入った水の気持ちになっています。

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水を追い出したら、アプリケーションシートを剥がしていきます。ストライプテープは十分に水を追い出して押圧してあっても、まだぜんぜん定着していません。アプリケーションシートと一緒にストライプが剥がれてくる場合がありますので、十分に注意して、慎重に少しずつ進める必要があります。コツとしては、アプリケーションシートはボディ面から垂直方向に引っ張るのではなく、180°折り返して、この場合で言えば右方向、裏返してボディ面に当てて車両の前方に引っ張っていきます。

180°の折り返しは、丸く緩めにではなく、折り目がつくくらいカチッとその場で折り返し、それでもストライプテープを一緒に持ってきて(剥がれてきて)しまう場合は、アプリケーションシートの折り返し個所を指で押さえながら転がして捲るような感じで、剥がしていきます。日本語が難しいですが伝わりますでしょうか。右写真の左手人差し指で、アプリケーションシートの折り返しを強くボディ面に押しつけながら、その人差し指を右方向にゆっくり動かしていく感じです。

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途中、抜けきれなかった水が残っている場合があります。その場合は、その場でアプリケーションシートをもう一度少し被せて、スクレーパーで具体的にその水泡を狙って、テープの縁(この場合で言えば下方向)に追い出します。真下に追い出せない場合は、スクレーパーを水平線に対して斜め45度くらいになるように使って、斜め下方向に追い出すと出し易い場合もあります。

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アプリケーションシートを最後まで剥がしたら、ドア前端の縁を折り返して、裏側に回り込ませます。このとき、単純に押さえても反撥してきますので、ヘアドライヤー等で熱を掛けて、テープを柔らかくし、かつ粘着が効き易い状態にして、慎重に徐々に回り込ませていきます。

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表からできる限り回り込ませたら、ドアを開けて裏側から完全に回り込むように貼付けます。こちら側もヘアドライヤーで熱を加えながら馴染ませた方が良いです。ドアの内側自体がシーリングで凸凹になっていますので、その凸凹にきちんと密着するように、スクレーパーの先端で優しく押さえます。

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先端のと尖った形状のあたりも、ドライヤーを当てて定着を良くしておきます。あとは、マスキングテープを剥がして、スピードシャインで水痕を拭いて仕上げれば完了です。真横から見ると、ピンと伸びた緊張感のある一直線。スカして見ると極緩い山なりに反っていて、とてもハリのあるラインです。エンブレムからの連続性も申し分ないです。

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全体感はこんな感じ。スッキリとシャープで、お洒落です。っと、これほど拘らなくても、いきなりラインをポンと貼るのではなくマスキングテープで目安を作ってから貼るだけで、かなり良い感じに仕上がりますので、15mm幅のマスキングテープを3巻買ってきて、是非挑戦してみてください。マスキングテープまでなら、どんだけ失敗しても安いもんです。

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