皆さん、こんにちは。maniacs公認サポーターのじぇいです。前回に引き続き、今回も結束バンドに関する豆知識をいくつかご紹介したいと思います。
前回のブログでは配線などを結束する方法までをご紹介しましたが、今回はその続きから。まずは強力に結束バンドを締め上げる方法のご紹介です。

Basic_NYB-33結束バンドをきちんと締めると、予想以上にしっかりと物を固定することができます。ボルト固定ほどの強度が要らない用途であれば、部品や装備品の固定にも使用できます。左写真は小生がDIYで取り付けたDTE Boostr Proですが、諸処の理由により固定は結束バンドで行っています。知らない人が見たら、えっと思われるかもしれませんが、しっかりと固定されていて全く問題ありません。では結束バンドを正しくしっかり締めるテクニックをご紹介しましょう。

Basic_NYB-35まず重要なのはロック部の位置です。左写真は市販のステーにLEDライトを固定している様子ですが、この例で言えばバンドが穴から出てくる位置にロック部をぴったり合わせて配置するようにしてください。

理由は、バンドはロック部に直角に刺さるため、一本の繋がった輪っかとして見た場合、ロック部を境にバンドの向きは直角になります。この直角の曲がり角を、締める相手物の形状に合わせて最もフィットする個所に位置させることが重要です。それによりバンドの輪っかの長さ(周長)は最短となり、バンドが緩んだり回転せずに安定し、相手物がしっかり固定されます。


Basic_NYB-37次にラジオペンチなどでバンドをロック部分のすぐ近くでしっかりと掴みます、そしてペンチの側面をロック部に当てて支点とし、ペンチを捻ると“てこの原理”でバンドが強力に引っ張られ、強いテンションかかった状態でバンドがロックされます。この方法ですと狭い個所でもバンドを強いテンションで締め上げることができます。前述のDTE Boostr Proもこの方法で固定しています。てこの力が作用するので、締め過ぎに十分に注意する必要があります。やり過ぎると当座は強く締まったようでも、後日(または経年後に)切れてしまうことがあります。

装備品や部品を固定するのとは違って、配線を包縛または結束する場合にはあまりキツく縛らずに、緩めの感じに留めておくのがコツです。配線の被覆にバンドのエッジが食い込んでいたら、もう締め過ぎになっています。ペンチを捻る要領でてこにすると締め過ぎになり易いので、配線の包縛・結束はバンドを手で引っ張って完了とします。

Basic_NYB-39強めに締めた場合も、弱めに縛った場合も、結束が終わったら余ったバンドは切断してしまうのが基本です。切らずにピロピロ出っ張っていると邪魔ですし、可動部の近くなら巻き込まれる恐れもあるからです。慣れないと長さの大半を切って捨てるのが勿体なく感じたりもしますが、余分なものは無い方が美しく、何度か実践するうちにはカットすることが当然と感じるようになります。

注意点としては、バンドを切った際の断端は角が鋭利で、触れると痛いです。手の甲など引っ掛けると怪我をする(流血する)恐れもあります。短く(例えば5mmくらい)出っ張る長さで切断するのが最も危険で、基本はロック部と“ツライチ”で切断します。工房長に聞いたところでは、プロの作業者の中にももわざと出っ張りを残してカットるする人もいる(あとでマシ締めする際に掴んで引っ張るため)ようですが、maniacsのメカニックは安全第一でツライチでカットしているとのことです。

Basic_NYB-41さてこの“ツライチ”で切断というのが、じつは意外と難しいのです。例えば、先ほど使ったラジオペンチや強力型のニッパーでバンドを切断すると、バンドが少し出っ張って残るのです。これは工具の刃の形状によるもので、詳細は左写真を参考にしてください。

Basic_NYB-43ハサミならスパッと切断できるのでは?とも思われがちですが、これもダメなのです。ハサミは2枚の刃の間で対象物を剪断するので、どうしても刃の厚み分はロック部から切断面が出っ張ってしまうのです。


Basic_NYB-45では、前の写真はどうやって切断したか?といいますと、フラットニッパーという道具を使っています。精密ニッパー、プラスチックニッパーでもほぼ同じように使えます。詳細は左写真を見ていただきたいのですが、要はニッパの刃の外側の面が平らなので、切断面も片側が平らになり、“ツライチ”切断が可能になる、という理屈なのです。

この道具は、知らず知らずに使っている人も多いかもしれません。と言いますのは、世の中のニッパーの何割かは強力ニッパーの刃先形状、何割かはフラットニッパー(精密ニッパー)の刃先形状です。プラモデルや電子工作に使う小型のニッパーは、フラット形状のものが多いです。写真は手持ちの中の比較的新しいニッパーを撮影しましたが、小生が実際に結束バンドの切断に使用しているのは30年前(!)に購入したタミヤ模型のプラモデル用ニッパーだったりします。

フラットニッパー(精密ニッパー)は一つあると何かと便利なので、お持ちでなければ購入して損はないですが、もしたった一度か二度の結束バンドのためだけに新しく購入する?という話ですと少し勿体ないですね。そのような場合のちょっとした裏技です。誰もがお持ちの道具が意外と使えます。

Basic_NYB-47その道具とは。。。爪切りです。爪切りも刃の外側が平らなので、かなり“ツライチ”で切断できます。厳密にいえば、刃を上から見ると湾曲しているので少し出っ張るのですが、引っかかりやすい両端は“ツライチ”になりますので、出っ張った断端で怪我が発生するリスクは防げます。爪切りは一度に長いバンドを切断できないので、あらかじめニッパー等で5mm程度残るぐらいまで切断しておき、爪切りで仕上げる、という使い方が良いです。スペースの関係で使えない場合もありますから万能というわけにはいきませんが、覚えておいて損のないTIPSだと思います。

Basic_NYB-49もし、何らかの理由で“ツライチ”切断したくない場合(例えばロック解除できるタイプを使用するので、すこし長めにバンドを残しておきたい場合など)は、切断した角部を切り落とすと良いです。丸く切るのは難しいので、ニッパーなどで角度を変えながら2回くらい角を切っておくと、痛い思いをしなくて済みます。

Basic_NYB-51ちなみに世の中にはこんな商品もあります。フラットニッパーの根元部分だけ刃がない商品です。これは刃がないところ(実は滑り止めのギザギザが彫ってある)でバンドを掴んで引っ張ることができる工具です。先ほど紹介した、捩じって強力に締めあげる作業もできます。つまり一つの工具で結束バンドの固定と切断ができる、その名も結束バンドニッパー(そのまんま!)。実はこのブログ用に購入したばかりで使い勝手は現在試しているところなのですが(汗)、“ツライチ”切断できますし、バンドを挟む力も十分あります。期待のニューカマーな工具です。

最後は結束バンドの外し方です。前述しましたように、ほとんどの結束バンドは一度締めると緩めることができません。ですから結束バンドを外す=結束バンドを壊すことになります。
Basic_NYB-53よくやってしまいがちなのが、左写真のようにバンド部分を切断する方法です。作業スペースの関係で、このやり方しかできない場合もありますが、結束している対象(配線など)をバンドと同時に切断してしまう危険性があり、お勧めできません。

Basic_NYB-55一番良い方法は、ロック部分を壊してしまう方法です。すなわち左写真のように、ロック部分に対して縦に切れ目を入れて切断するのです。上手くいけば1カ所、悪くても2カ所切断すればロックが外れます。写真の角度でニッパーを使えない場合でも、ロック部をニッパーで破壊すれば外れますので、可能か限りロック部に対してニッパーを使う方が安全です。

Basic_NYB-57作業スペースやロックの位置の関係で、ロック部にニッパーがアクセスできない場合は、ニッパーの刃の片側を左写真のようにバンドと結束対象物の間に差し込み、バンドを切断する方法もあります。結束している配線などを同時に切断しないように確認することはもちろん必要ですが、配線の方向にニッパーの刃先が向くやり方よりはリスクが低くなります。バンドをロック部に差し込んである直近には多少の隙間ができているので、ここを狙うと良いでしょう。もし刃が一度に入りきらない場合は、少しづつ切り進めていってください。

なお、針やマイナスドライバ等を使用してロック爪を開くと、バンドを切らずに外すことができ、再使用できる、と紹介している例もあるのですが、個人的にはお勧めできません。理由は2つあり、

1つ目は、この方法で外すと、ロック爪やバンドのギザギザ部分にダメージを与える可能性があり、再利用した際には結束力が低下する場合があります。
2つ目は、ロック部の“ツライチ”でバンドを切断してある場合は、バンドは既に必要最低限の長さになっていて、せっかく外しても再利用は非常に使い難いです。
ということで、外すときは切断して外し、再結束には新品のバンドを使う方がシンプルです。

結束バンドの外し方の最後は、少し珍しい方法です。
Basic_NYB-59左写真で使っているのは、プライヤーレンチという比較的マイナーな工具です(でもすごく便利なお気に入り工具です)。平行に移動するアゴ部分は、握った力の10倍で対象を掴むことができる、という工具なのですが、これでロック部を掴んで捩じると、あら不思議。ロックが解除されてバンドが抜けた状態になります。

どういう理屈かといいますと、ロックの四角い部分を掴みながら捩じることで、ロック部分の四角が平行四辺形状につぶれでロック爪がギザギザから外れ、バンドが抜けるということなのです。工具を回すスペースが必要なので万能ではありませんが、多数の結束バンドを次々に外す必要がある場合は重宝する方法です。

なおペンチやプライヤでもできるかな?と思って試してみたのですが、非力な小生ではロック部を潰す力が足りず、うまく外れませんでした。握力自慢の方なら出来るかもしれませんね。

ということで2回にわたってDIYでも出番の多い結束バンドに焦点を当ててみましたが、如何だったでしょうか?ひとつでも“へぇ〜っ”と思っていただける物がありましたら、うれしい限りです。結束バンドは小生が子供のころは全く見かけなかったのに、今やプロはもちろんのこと、素人のDIYでも必須のアイテムとなっています。うまく使いこなして、DIYのレベル向上にお役立てください。ではでは!!

関連ページ
結束バンドに関するあれこれ(その1)

以下余談です。
途中で出てきたLEDライトをステーに固定する写真ですが、何やってんだろう?と思われた方もいるかもしれませんので、種明かし(?)です。
Basic_NYB-63あれは試行錯誤中の写真だったのですが、最終的に完成したのが左写真のものです。LEDライトを小型三脚に固定するステーを作っていたのでした。
車内作業で手元の明かりを確保しようとすると、意外と難しいのです。市販の自立スタンド付ライトはどうしても大きくて邪魔になり、磁石で固定できるタイプも車内に鉄板むき出しの場所は無いので使えません。で、ふと思いついたのが上記の方法でした。
ちなみに三脚とカメラを固定するねじは、普通のミリねじではありません。ユニファイねじというインチねじの規格で、サイズは1/4-20です。覚えておくと、何かの役に立つかもしれません。
簡単な工作でしたが、意外と使えるので満足!もっと早く気付いていればよかったアイデアでした。