工房長です。maniacsで満を持して開発着手した革製キーカバー! 桶狭間にある「革茶屋」さんとのコラボレーションで着々と進めております。(その1)に続くその後の進捗をご紹介します。
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革茶屋さんのキーカバーには、いくつもの特筆すべき美点があります。イタリアのタンナーが作るブランドものの革を用いていること、裁断から仕上げまで全工程を桶狭間の自社工房で行っていること、縫製は全て熟練のスタッフさんの手縫いであること、内窓を含めたコバを丁寧に磨き上げていること、他にもいくつもの拘りがあり、妥協の無い真摯さと、革への愛が製品から伝わってきます。

その中でも、工房長がとくに目を惹かれたのは「しぼり加工」です。高度な技術と経験により、平らな革を美しく優雅な立体形状に成型してあるのです。今回の訪問で、特別にそのしぼりの工程を見せていただき、写真の許可をいただきました。機械でポンと成形できるのではなく、独自の押し型に嵌めて人手の作業で何日もの時間を掛けて立体にしぼる、ノウハウの固まりのような工程です。
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maniacsオリジナルを作るなら、この「しぼり」の良さを生かさないわけにはいかないと、神の啓示のごとくそう思ったのでした。革茶屋さんの美点を最大限に引き立てつつ、maniacsらしい拘りの設計でひとつの製品に纏めていく。簡単ではないですが、挑戦し甲斐のある開発です。荻原さんと深くいろんなことを話して、それから持ち帰ってじっくり腰を据えて検討です。
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お借りしたサンプルは、革茶屋さんのオリジナルから、止めベルトの飾りステッチを削除したものです。既に十分に素晴らしいと思えるこのサンプルに対して、maniacsが目指す理想のキーカバーはどうあるべきなのか。デザインと機能性を融合させるべく熟考を重ね、そして以下のように希望仕様を纏めたのです。

(キーの保護)
・キー本体をクロームメッキのボトム部分まで全部カバーし、キーが傷つかない。
・キー本体のボトムにキーリングを通さず、キーとキーリングが擦れない。

(使い勝手)
・ポケットやバッグに入れる、コンソールやダッシュに置くのに適した形状。
・裏面がフラットでリベットなどの金属部品がなく、車両内装を傷つけない。
・キーリングをキー本体と直角でなく水平に装着でき、嵩ばらず、座りも良い。
・普段使用しない押しボタンは裏面に配置、革の平面部で押す際に操作性が良い。
・表面に突起がなく滑らかで、車両、衣服、バッグ等に引っ掛からない。
・キーリングを脱着しなくてもキー本体を取り出せる構造。

(デザイン性)
・極力シンプルに、余分な付け加えをしない。
・イタリア製の革を使用。総革製1.5mm厚。素材の良さに拘る。
・革の良さをそのまま感じることができる総包み、窓部分は最小限に。
・金属パーツは最小限にし、プレス成型品は排除して無垢のパーツのみに。
・しぼり面から押しボタン機能を排除し、革のしぼりの美しさを全面に見せる。
・Audi、VWのロゴマークを見せる窓をデザインの要点に据える。
・maniacsのロゴを表面に、マークを裏面に分離し、主張しすぎず上品に纏める。

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そして、素材やカラーを選定しながら、完成状態を思い浮かべつつ、希望の仕様をポンチ絵に描き下ろして革茶屋さんに送りました。嬉しいことに、革茶屋さんもmaniacsの目指すところに共感してくださって、とくにその実現方法として革茶屋さんオリジナルからキーの裏表を反転したことを高く評価してくださいました。

細部について何度かメールでやりとりのあと、さっそく試作に着手してくださるとのことで、その完成を楽しみに待つことに・・・とても待ち遠しいです。
(その3)に続く