皆さんこんにちは。maniacs公認サポーターのじぇいです。今回は日常メンテナンスとしてエンジンオイルの補充についてご紹介します。

ご存知かもしれませんが、VW/Audiに限らず欧州車はエンジンオイルの消費(走行に伴うオイルの減少)が国産車よりも多目の傾向があるようです。これはエンジンオイルのロングライフ化に伴ってそのような設計がなされているとも言われており、例えばGolf7 GTIの取扱説明書では「オイル消費率は通常2,000kmあたり1L未満です」と記載されています。これはつまり、最大それくらいオイルが減る可能性があるということを意味します。ですので、オイル量の確認と補充はVW/Audiユーザーに必須の日常メンテナンス項目とも言えます。

Golf7_VEO_01さて、エンジンオイルは温度が上昇すると膨張しますので、オイル量のチェックは冷間と温間で異なる結果になります。VW/Audiのオイルレベルゲージ(オイルディップスティック)は温間状態でオイル量を計測するようにできていますので、正しく測るためには、まずオイルを通常運転時程度の温度にまで温めます。

★工房長補足1: エンジンオイルは水などよりも熱膨張率が大きく、例えば4.5リットルのエンジンオイルは冷間(常温)→温間(運転時)で300ccくらい体積が増えます(=膨張します)。冷間でオイル量をチェックすると入れ過ぎの原因になりますので、必ずエンジン(オイル)が温まっている状態でチェックする必要があります。★

日常のオイル点検としては、近所の買い物等15分程度のチョイ乗りから帰った後などがちょうど良いわけですが、そのような機会がない場合はエンジンを温める目的で15分くらい普通に走行して来るのが良いと思います。Golf7の場合は油温を表示する機能がありますので、油温が上がって安定するのを確認できます。

★工房長補足2: アイドリングだけでもエンジンは温まりますが、アイドリングでは油温が安定するまでに時間が掛かるので、じぇいさんの説明のように走行した方が効率的ですね。その際、油温表示機能がない車両の場合は、水温が適正値で安定してから念のため+5~10分くらいエンジンを掛けておけば油温も概ね適温になったと解釈して大丈夫です。★

オイルが温まったら車を安全で水平な場所に止め、エンジンを停止して5分程度放置します。これはエンジン各部に行き渡ったオイルが、オイルパンに戻ってくるまで待つという意味です。

★工房長補足3: ガレージの床が明らかに前後または左右に傾斜している(坂になっている)場合は、その場所では車両(エンジン)が傾いた状態のためオイルレベルを正確に測ることができません。水捌け程度のごく緩い床傾斜は神経質に気にする必要がありませんが、床面が坂になっている場合は別の水平な場所を選んで停車してください。またエンジン停止後の5分の安静は必須です。この5分の安静でオイルパンには何百ccかのオイルが戻ってきます。★


Golf7_VEO_03左写真は、ボンネットを開けてエンジンルームを見たところです。オイル量のチェックと補充の際にアクセスする箇所を黄色で示しました。Golf7GTIの場合、オイル量を測るオイルディップスティックと、オイルフィラーキャップ(=オイル注入口の蓋)は、いずれもエンジンの運転席寄りにあります。車種によってこれらの位置は異なりますので、まずはご自身の車でこれらの位置を確認してみてください。キャップにあるオイルのマークは各車共通で、ディップスティックのツマミ部は各車とも黄色かオレンジ色等の目立つ色になっていますので、すぐに見つけられると思います。

なお、走行後のエンジンルームは高温になっていますので、金属部分、とくにエンジン本体や排気管等には触れないように注意してください。

★工房長補足4: 高速走行後や長時間の走行後はエンジンルーム内の広範囲が熱くなっていますので、危ないですし作業がしづらく、避けた方が無難です。オイルレベルチェックを行なうのはチョイ乗りの後の方が安全で、やり易く、お勧めです。★

Golf7_VEO_05オイルレベルチェックは、まずはオイルディップスティックを引き抜きます。黄色い(車両によりオレンジ色等)ツマミの丸い輪に手指を挿し込んで、軸の延長方向にまっすぐに引っ張ると抜けてきます。スティックは40cmくらいの長さがありますので、斜めに引っ張って曲げないように気をつけて、スティックが完全に抜けきるまで延長方向に真っすぐ、ゆっくりと引き抜いてください。抜き取ったスティックにはオイルが付着していますので、オイルを撥ね飛ばさないように気をつけて、そっと扱ってください。

オイルディップスティックの先端は、小生の車の場合は写真のような形になっていました。この形状は車種や年式によって異なる場合があります。スティックの先端付近は、最初に引き抜いた時点では全体的にオイルに濡れています。まずこのオイルを一旦きれいなウエス等で拭き取ります。拭き取った後は、ディップスティックに糸くず等が付着していないことを念のため目視確認してください。

★工房長補足5: 教習所などで教えるエンジンオイルの点検で、「ウェスに拭き取ったオイルの色を見て汚れ具合を確認する」とされている場合があります。昨今のロングライフ化されたエンジンオイルは、エンジン内に発生する汚れをオイルの中に積極的に取り込んで分散させ、それによってエンジンに汚れが付着堆積することを防いでいるため、オイル自身は比較的汚れているように見える傾向があります。オイルの色を見て劣化度を判断することはとても難しく、お勧めしません。交換時期については走行距離と使用期間で管理することをお勧めします。具体的なオイルの交換サイクルついては、以前に掲載した記事をご参照ください。★ 


Golf7_VEO_07次にオイルレベル(=エンジン内のオイルの液面高さ)を確認するために、オイルディップスティックを元のように差込み、そして再度引き抜きます。差込む際は、ツマミ下の黄色いプラスチックのキャップ相当の部分を全部差し、ストッパー(=根元の鍔状の個所)がガイドチューブに触れるまで一旦完全に挿しこんでください。差し込みが浅いとオイルレベルを正確に測れません。


Golf7_VEO_09挿したディップスティックを再度抜き取ると、スティックの先端には現在のオイルレベルに応じた高さまでオイルが付着してきます。左の写真で、スティックが段差状に曲がっていて網掛けのような模様になっている範囲が、適正レベルです。写真はちょうど上下限の中央付近までオイルが付着していますので、この状態でオイルレベルは適正、ということになります。スティック先端の形状は車種や年式で異なりますが、いずれの場合もオイルレベルの上下限が容易に判別できる形状になっています。

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これだけでは記事として面白くありませんので(笑)、実際にオイルを注ぎ足すことにしました。注ぎ足すオイルは、原則として現在使用しているものと同一銘柄のものを選んでください。


★工房長補足6: 銘柄の異なるエンジンオイルを混ぜた場合、ブレンドされて良いあんばいになることは、まずありません。混ぜると、それぞれのオイルの持つ本来の性能を発揮できなくなり、とくにオイルのロングライフ性能を低下させる場合があります(=オイルの劣化を進み易くしてしまいます)。ですので補充するオイルは、現在使用しているオイルと同じ銘柄を用いることを強く推奨します。もし何かの事情で混ぜてしまった場合は、次回少し早目にオイル交換するのが良いと思います。★

maniacsでは補充に便利な少量のオイル缶をラインナップしていますので、御使用銘柄に応じて準備しておくとよいでしょう。小生はVW純正オイルを使っていますので、用意したのはVW 504 ロングライフエンジンオイル 0.5L缶です。ラゲージルーム両サイドの小物入れにちょうどよく収まりますので、普段オイル管理はディーラーにお任せという方でも、念のためひとつ車載しておくとロングドライブも安心ですね。

Golf7_VEO_13オイル缶のキャップをあけると、中にはもうひとつ中栓がありますので、使用する際はリング部分を指でつまんで中栓を開封してください。ドレッシングやサラダ油などを始めて使用する際と同じ要領です。


Golf7_VEO_15オイルフィラーキャップ(オイル注入口のキャップ)をはずし、オイルを注ぎ足します。注入口の周りにウエスを敷いておくと、万が一オイルが注入口からこぼれてしまった際のリカバリーが楽になります(左写真ではエンジン部品の位置関係がわかり易いように敢えて行っていません)。またオイルは一気に注ぐと注入口から溢れることがありますので、ゆっくりと注ぎ入れてください。


Golf7_VEO_17注入したオイルがオイルパンに達するまで30秒程度待ってから、再度オイルディップスティックを使用してオイルレベルを計測します。今度はほぼ上限までオイルが入った状態になりました。オイルを上限以上まで入れてしまうと簡単には抜き取れませんので、一気に多量のオイルを注ぎ足すのではなく、とくに慣れるまでは、少しずつ入れてはオイルディップスティックでレベルを確認して、を繰り返して適正な量までオイルを入れるようにしてください。

★工房長補足7: エンジン停止後5分安静にしてから作業を開始した場合でも、作業中にエンジンヘッド等から更にオイルが戻ってきてレベルが多少上昇する場合があります。うっかりオイルを補充し過ぎた格好になり上限レベルを超えてしまわないように、オイルの補充は上限ぴったりを狙うのではなく、その3〜5mm下を狙うことをお勧めします(じぇいさんの写真も2mmくらい手前になっていますね)。オイルのチェックと補充の作業に30分以上も時間が掛かったような場合は、一旦フィラーキャップを閉めディップスティックも戻してエンジンを掛け、再度停止後5分でオイルレベルをチェックすると最初と同じ条件で測ることができます。★


★工房長補足8: 万一上限を超えてしまった場合、1~2mm程度の僅かのオーバーであれば大きな問題にはならないので、あまり神経質に心配する必要はありません。オイルは次第に消費されて減りますので、念のためしばらくの期間(適正量になるまで)高回転を回さないように乗れば大丈夫です。但し、5mm以上もオーバーしてしまった場合は、不調や故障の原因にもなるので、念のため適正レベルまでオイルを抜いた方が良いです。オイルは入れるのは簡単ですが、抜くのは入れるよりも少し面倒な作業になるので、(繰り返しますが)上限を狙わずに少し低めを狙うようお勧めします★


チェックと補充が完了したら、オイルフィラーキャップを締め、オイルディップスティックを元のように根元まで差し込んで作業終了です。キャップとスティックを戻すまではエンジンを始動しないようにご注意ください。最後にエンジンルームにウェスなどの置き忘れがないことを確認し、ボンネットを閉めてください。


今回改めてGolf7GTIの取扱説明書を読んだところ、オイル量の確認は「燃料の補給毎の実施」が推奨されていました。何度か実施して愛車の走行距離とオイル消費量の傾向がつかめれば、実際上そこまでの頻繁な点検は必要ないとは思いますが、改めて「欧州車ってちょっと違うなぁ」と実感した次第です。エンジンオイルは車の血液とも言われていますので、皆さんもぜひ愛車のコンディションを定期的にチェックされてみては如何でしょうか?愛車のメンテナンスをオーナー自らやっているぞ!という実感が得られて、充実した気分になれますよ。ではでは!!

<関連ページ>
エンジンオイルレベルの確認方法(追記)やや漫談
VW/Audi純正オイルが変わりました!

VW Audi純正ロングライフエンジンオイル(商品ページ)


以下余談です。

Golf7_VEO_19皆さん、ボンネットの正しい閉め方ってご存知ですか?小生は昔、ボンネットをそぉーっと降ろしてから、ロックがかかるまで手のひらで押して閉めていましたが、あるときディーラーで怒られました。

なんでも最近の車は軽量化や歩行者保護のためにボンネットが変形しやすくなっており、またアルミ製(=軽量だが変形しやすい)ボンネットを採用している車種もあります。ですので前述の方法では、ボンネットを手のひらで押した際に凹ませる恐れがあるのだそうです。

ですので写真のように、完全に閉まるまであと20cmぐらいのところまでボンネットを下げた後、パッと手を離して自然に落下させて閉めるのが正しい方法です。丁寧に作業したがるのは日本人の性ですが、これが返って悪さをする可能性があり、一見乱暴そうに見える方法のほうが正しいという、ちょっと目からウロコの経験でした。