工房長です。前回のGolf7用maniacsパドルエクステンション開発記(2)で、形状デザインを正確にデータ化したところまでお伝えしました。その続報です。製品は削り出しの試作とは異なり、ムクの塊りで製造することはできないため、製造可能な構造に落とし込む必要があります。まず基本構成は、量産時の外観品質を確保するため、マットブラックの本体部分と表面の金属調部分のツーピースに分割して、それぞれを成型してから噛み合わせる構造としました。

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外形デザインデータを基に、内部構造を作り込んで製品設計データを作っていきます。プラスチックを高精度に成型するには「均等肉厚」にすることが重要で、そのためにモナカのような中空構造が基本になります。その中央に上から下まで縦断するリブを立てて「E」のような断面形状にして、強度と組み立て性を確保することにします。そして中図の絵のような構想を立てて、実際のスケールにしてCAD上で設計してみると、右図のようになってしまうことがわかりました。

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成型時の品質を考慮して、肉厚をできるだけ下げながらバランスを取っていきます。断面形状は上から下まで一定ではなく、各部分で連続的に変化しますので、ポンチ絵を描いてはCADに反映し、何度も打ち合わせを繰り返して、それぞれの部分を精細に確認して全体を詰めていきました。とくに、中央を縦断するリブは、その付け根の裏面が外観面になり、そこに「ヒケ」と言われるせ凹みを発生させる可能性があるので、リブを立てる位置は慎重に検討する必要があります。

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それから重要なポイントとして、車両への装着部から伸びたフィン状の部分が棒状の操作部の先端につながる、繋ぎ目の処理があります。フィンの方は繋ぎ目の根元までブラックにしたいですし、棒状の上半分はフィンの付け根の際までシルバーにしたいので、ちょうどこの切り替わりのラインが部品の分割ラインになる必要があるのです。分割した両方の部材の製造性を考え併せて、フィンの付け根や、装着部と棒状の合わせ目などの、分割ラインを精細に設計してきます。

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各部材の形状が概ね決まった時点で、モールド成型の製造要件を作り込んで行きます。具体的には、射出ゲートの位置、イジェクトピンの位置などをこの時点で概ね想定しておきます。そして、それら部材の設計データを重ね合わせて、全体の形状の最終確認を行います。それから、その体積をCAD上で計算して、比重を掛けて概算の質量を求めました。概算は17グラム程度で、操作性の面から考えても明らかに軽すぎです。

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剛性の確保と、操作時のイナーシャを持たせて感触を良くするため、内部にバラストを挿入することにしました。バラストの形状は、板を湾曲させて入れる方法や、棒状のものを加工して入れる方法なども検討しましたが、最も効率よく剛性と質量を確保できる方法として、2.3mm厚のスチールをプレスで異形に抜いて、それを入れることにしました。平面形状を何通りか検討した上で、詳細な形をCAD上で設計し、三次元的な配置を確認しました。良い感じに納まったと思います。

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バラストが内部でカタカタと動かないようにして、全体として一つの構造体のように作用するように、各部のクリアランスを調整します。プレス成型はカットした端面のエッジが表裏で微妙に異なり、表面は丸みを帯びますが裏面は若干バリっぽくなります。その性質も考慮して、同じ部材を左用と右用で反転して使用するのではなく、ここは拘りで左用と右用をそれぞれ専用に製造することにしました。さて、これで構造検討が完了しました。これから二次試作で最終確認を行うことになります。(つづく