工房長です。S-tronic Paddle Progressの開発進捗につきまして、前回のS-tronic Paddle Progress 開発記(6)で、金型製作をGO!したところまでお伝えしました。その続報です。



毎度のことながら、maniacsの拘りのために製品化に手間取ってしまい、お待たせして申し訳ありません。たくさんのお問い合わせを頂戴し、ありがとうございます。現在プロトタイプをmaniacsSTADIUMの店頭に展示してあり、手に触れたお客様から好評価をいただいています。機能、性能の面ではほぼ完了しているのですが、製品として自信を持って発売するための品質を妥協なく詰めております。上の写真は製品用の金型と、いろいろと試作を繰り返したサンプルです。



本体部品で現在調整を重ねている課題点は2つあり、1つはヒケ(表面がうねるように凹んで成型される現象)です。左写真のように普通に見てもあまり気づかないレベルなのですが、良〜く見ると赤マジックの位置が微妙にヒケています。樹脂流れの解析、成型条件の調整、射出ゲートの変更等の対策を進めてきました。ほぼ改善したので「こんなもんかな」と思ってしまえば簡単なのですが、やはりきちんと解決したいので、最終的に肉盗み(表側の窪み)を拡大する金型変更をする判断をしました。



もう1つの課題はインサートするバラストの状態です。パドルの操作感を向上するために、イナーシャをコントロールするためのバラストを内蔵しているのですが、その位置が微妙にズレて成型されてしまうのです。製品の状態では全く見えない「鋳ぐるみ」なので、内部でどうなっていても気付かれない部分ですが、見えないだけにズレていたら気持ち悪いです。確実に設計通りの状態になるように条件を詰めています。サンプルをカットして内部を確認し、支持ピンの位置を最適化しているところです。



両面テープの設計と試作評価も実施しています。両面テープはGolf5,6用のパドルエクステンションで実績のある3M製のVHBシリーズです。装着強度と操作時のカッチリ感に直接係わる部分なので、とても重要です。最適な選択として0.4mm厚のハイソフトタイプを適用します。またテープの面積が重要で、小さすぎると装着の強度と剛性が不足し、大きすぎると貼着け作業ば難しくなり、取り外しもできなくなってしまいます。試作評価を繰り返して最適なサイズと形状を求めました。こちらは順調です。



今回、意外な苦労をしたのが、シルバーの枠縁の部品です。形状は複雑ではないのですが細いので設計どおり正確に綺麗に成型するのが難しいのです。加えて表裏両面が外観面になるので、射出ゲートやイジェクトピン(金型から製品を押し出すピン)を配置できる箇所が非常に限られます。当初の案ではこのゲートとイジェクトピンの配置で行き詰ってしまいました。金型は完了したのですが、所望の品質に成型できず、なんと金型を丸ごと作り直すと判断せざるを得ませんでした。



「妥協しない」と簡単に言っても、金型まるごと再製作は結構な痛手です。次は絶対に失敗できないので、成型に関わる細かな寸法や形状、とくに「抜き勾配」と言われる垂直面の僅かな傾斜を何°にするか、再度全ての箇所を確認しました。真ん中の図は、勾配を3°まで深めると隙間が0.05mm生じてしまうので、ここはやはり1.8°でいこう、という検討図です。右図のPLというのはタイ焼きのような金型を開く境目のラインのことです。PLの微調整も含めて、本当に細かな調整をやっています。



枠縁の部品は、材料についても再度見直しを掛けました。固い材料は形状精度は良いですが、微細部分の成型性に難があり塗装肌も荒れる傾向にあります。軟らかい材料は成型し易く塗装肌も綺麗ですが、反り、捻じれ、平面部のうねりなど形状精度に難があります。同じPCでも三菱樹脂とテイジンでは特性が違います。材料のスペックシートを再精査し、実際にPC、PC+ABS、PC-GF10などのいろいろな材料で試作を行い、さらにそれらに実際に塗装までして吟味し、最適な材料に選び直しました。



パッケージも設計中です。S-tronic Paddle Progressはそれ自体に可動部もなければ電気回路もなく、ただそういう形の塊りにすぎません。しかしそこには、機能と感触と意匠への拘りが詰まっています。そのイメージを直感的にお伝えするパッケージデザインを目指しました。例えばこの商品がお客様にとって初めてのアフターパーツだっとして、まずワクワクしていただき、それから実際に装着して「アフターパーツの満足感って、こういう感じかぁ」というのを体験していただきたいのです。
maniacsでは仕入販売のものも含めて、一定の品質基準を満たす商品をセレクトしています。その中でもオリジナル商品は、アフターパーツに対するmaniacsの「思い」「考え方」「姿勢」を最も端的に具現化するものです。なので、まずは自分たちが妥協なしに満足できることが、maniacsオリジンル商品として世に出すための必要条件です。開発遅延でお待たせして本当に心苦しいのですが、ご満足いただける商品を目指してあとひと頑張り。もう少々お待ちください。ありがとうございます。つづく



毎度のことながら、maniacsの拘りのために製品化に手間取ってしまい、お待たせして申し訳ありません。たくさんのお問い合わせを頂戴し、ありがとうございます。現在プロトタイプをmaniacsSTADIUMの店頭に展示してあり、手に触れたお客様から好評価をいただいています。機能、性能の面ではほぼ完了しているのですが、製品として自信を持って発売するための品質を妥協なく詰めております。上の写真は製品用の金型と、いろいろと試作を繰り返したサンプルです。



本体部品で現在調整を重ねている課題点は2つあり、1つはヒケ(表面がうねるように凹んで成型される現象)です。左写真のように普通に見てもあまり気づかないレベルなのですが、良〜く見ると赤マジックの位置が微妙にヒケています。樹脂流れの解析、成型条件の調整、射出ゲートの変更等の対策を進めてきました。ほぼ改善したので「こんなもんかな」と思ってしまえば簡単なのですが、やはりきちんと解決したいので、最終的に肉盗み(表側の窪み)を拡大する金型変更をする判断をしました。



もう1つの課題はインサートするバラストの状態です。パドルの操作感を向上するために、イナーシャをコントロールするためのバラストを内蔵しているのですが、その位置が微妙にズレて成型されてしまうのです。製品の状態では全く見えない「鋳ぐるみ」なので、内部でどうなっていても気付かれない部分ですが、見えないだけにズレていたら気持ち悪いです。確実に設計通りの状態になるように条件を詰めています。サンプルをカットして内部を確認し、支持ピンの位置を最適化しているところです。



両面テープの設計と試作評価も実施しています。両面テープはGolf5,6用のパドルエクステンションで実績のある3M製のVHBシリーズです。装着強度と操作時のカッチリ感に直接係わる部分なので、とても重要です。最適な選択として0.4mm厚のハイソフトタイプを適用します。またテープの面積が重要で、小さすぎると装着の強度と剛性が不足し、大きすぎると貼着け作業ば難しくなり、取り外しもできなくなってしまいます。試作評価を繰り返して最適なサイズと形状を求めました。こちらは順調です。



今回、意外な苦労をしたのが、シルバーの枠縁の部品です。形状は複雑ではないのですが細いので設計どおり正確に綺麗に成型するのが難しいのです。加えて表裏両面が外観面になるので、射出ゲートやイジェクトピン(金型から製品を押し出すピン)を配置できる箇所が非常に限られます。当初の案ではこのゲートとイジェクトピンの配置で行き詰ってしまいました。金型は完了したのですが、所望の品質に成型できず、なんと金型を丸ごと作り直すと判断せざるを得ませんでした。



「妥協しない」と簡単に言っても、金型まるごと再製作は結構な痛手です。次は絶対に失敗できないので、成型に関わる細かな寸法や形状、とくに「抜き勾配」と言われる垂直面の僅かな傾斜を何°にするか、再度全ての箇所を確認しました。真ん中の図は、勾配を3°まで深めると隙間が0.05mm生じてしまうので、ここはやはり1.8°でいこう、という検討図です。右図のPLというのはタイ焼きのような金型を開く境目のラインのことです。PLの微調整も含めて、本当に細かな調整をやっています。



枠縁の部品は、材料についても再度見直しを掛けました。固い材料は形状精度は良いですが、微細部分の成型性に難があり塗装肌も荒れる傾向にあります。軟らかい材料は成型し易く塗装肌も綺麗ですが、反り、捻じれ、平面部のうねりなど形状精度に難があります。同じPCでも三菱樹脂とテイジンでは特性が違います。材料のスペックシートを再精査し、実際にPC、PC+ABS、PC-GF10などのいろいろな材料で試作を行い、さらにそれらに実際に塗装までして吟味し、最適な材料に選び直しました。



パッケージも設計中です。S-tronic Paddle Progressはそれ自体に可動部もなければ電気回路もなく、ただそういう形の塊りにすぎません。しかしそこには、機能と感触と意匠への拘りが詰まっています。そのイメージを直感的にお伝えするパッケージデザインを目指しました。例えばこの商品がお客様にとって初めてのアフターパーツだっとして、まずワクワクしていただき、それから実際に装着して「アフターパーツの満足感って、こういう感じかぁ」というのを体験していただきたいのです。
maniacsでは仕入販売のものも含めて、一定の品質基準を満たす商品をセレクトしています。その中でもオリジナル商品は、アフターパーツに対するmaniacsの「思い」「考え方」「姿勢」を最も端的に具現化するものです。なので、まずは自分たちが妥協なしに満足できることが、maniacsオリジンル商品として世に出すための必要条件です。開発遅延でお待たせして本当に心苦しいのですが、ご満足いただける商品を目指してあとひと頑張り。もう少々お待ちください。ありがとうございます。つづく