工房長です。4月に予告編的な記事でご紹介しました開発中の新製品は、Audi用のmaniacsパドルエクステンションです。maniacs流のこだわりで、開発に若干時間が掛っているのですが、その様子をご紹介します。maniacsパドルエクステンションの開発では、最初にフィギュア用の粘土でモックアップを製作します。今回この作業は、工房長が自ら行いました。デザイン性と機能性、さらには物づくりのことも考えて、形状の方針を決めつつ、それを具現化していきます。

maniacs22maniacs24maniacs25






上の写真は、その完成形です。細かなところまで、全て手削りで仕上げています。表面にはAudiのステアリングとの意匠バランスを考えて、曲面状の落とし込みを設けています。裏面には指の掛りをデザイン的に表現したリブが3本あります。今回、パドルエクステンションの本体をツーピース構造にする設計です。そしていちばん重要なポイントは、右写真で分かるような、装着面と操作面の微妙にねじれた配置関係です。これによってパドルの操作性の向上を狙います。

maniacs27maniacs29maniacs21






次に、そのモックアップを非接触の三次元測定機できわめて正確に測定します。測定精度は100分の1mm以下です。測定の際には車両側のノーマルのパドルの形状、ステアリングホイール自体の形状も併せて測定します。そして、そのデータを三次元CADに取りこみます。このあたりの具体的な流れは、maniacs DSG Paddle Extension 開発記(1)に詳しくご紹介しています。実測したデータは三角パッチと言われるデータ形式になっていますので、それを綺麗な曲面で貼り直します。ここは、もともとのAudiノーマル部品のデザイン意図を解釈して面を貼っていく必要があるので、センスの問われる作業です。

その結果は、左の確認画像のように実測データと綺麗に貼り直した面の垂直誤差をCAD上で測定して確認しますが、今回その差分は最大箇所で0.02mm(ノーマル部品の製造公差以下と思われます)でしたので、非常に高精度で形状を再現できました。その高精度で再現した貼り着け面を基準にして、モックアップの実測データをCAD上に配置します。ステアリングホイールとパドルエクステンションの操作面との位置関係は、すでに定評のあるmaniacs製VW用パドルエクステンションのディメンジョンを踏襲し、現物も確認しながらCAD上で正確に配置を行います。

maniacs28maniacs31maniacs33






そして、いよいよCAD上でモックアップの形状を綺麗な面に再現していきます。モックアップは、形状の概略の方針を表現していますが、手作りなので厳密に言えば面の歪みや形状の誤差があります。それを、意図をできるだけ正確に反映しながら歪みのない綺麗な曲面で再構成するわけです。実際にCADを操作するエンジニアと、モックアップを作成した工房長の呼吸がぴったり合うことがとても重要になってきます。実際に画面を見ながら細かな部分の理解を共有し、コミュニケーションを密に取りながら、作業を進めました。

左写真は、面を再構成している様子です。三次元CADは大きく分けてソリッド系のCADと、サーフェース系のCADがあります。前者はCAD上で形状を塊として認識しています。例えば円柱は丸の面積×高さでその塊を表現します。一方後者は形状を表面で認識しています。同じ円柱の例で言うと、筒状に丸めた紙の上下に円盤状の紙を貼った張り子のように表現します。機構設計にはソリッド系が向いていて、デザインにはサーフェース系の方が綺麗な面が構成し易いです。maniacsではパドルエクステンションの設計にはサーフェース系のCADを適用しています。

といった感じで、現在Audi用のパドルエクステンションを鋭意開発中です。全体にスケジュールが押してしまい、発売をお待ちのお客様にはご不便をおかけします。現在までに90%くらいまで設計の完成度は高まっていますので、頑張って100%にして製品化を急ぎます。お問い合わせを多数頂戴しておりますGolf7用のパドルエクステンションは、このAudi用に引き続いて開発を行います。今回、5年前の開発からブランクがあったためにスタートの部分でかなり手間取ったのですが、Audi用完成のあとGolf7用はスムーズに開発できると見込んでいますので、もう少々お待ちください。(つづく)