工房長です。発売以来人気上昇を続けているSprung Colored Plateの装着方法を、いよいよmaniacsでご紹介します。この商品は、詳細な写真付きマニュアルがSprungさんのWebサイトで公開されています。とても親切丁寧に書かれたマニュアルで、これだけでも十分なのですが、工房長も実際に多数の装着作業をしてみて、季節や車輌個体によって少し難しく感じる場合もありますので、そのあたりの確実な方法をご紹介したいと思います。

010203






左写真は見慣れたノーマルのリアエンブレムです。VW車のアイデンティティですね。このままでも十分所有感を満足させてくれますが、ここをハイセンスに仕上げることでリアビューがグッとスタイリッシュに見えるだけでなく、車に対してまた格別の愛着が湧いてきます。工房長は、こういうチョットの工夫でパッとイメージの変わる気の利いた商品が大好きです。Sprung Colored Plateは工房長の個人的にも大のお薦め商品です。

装着はそれほど難しくはないのですが、ちょっとコツが必用なことも確かです。無理矢理に力づくよりも楽に作業していただきたいので、ここではその「コツ」を惜しみなく全て伝授します。他の装着作業にも応用していただけるよう、丁寧に説明したいと思います。まず、最初にエンブレムの周囲を養生します。マスキングテープやマスカー、なければ引越し用の養生テープでも何でも構いません。ヘラなどの工具がボディに接触する可能性がありますので、ハッチの丸い穴に沿ってテープを貼ってください。

040506






テープを貼ったら、ここからいきなりコツの一つ目です。とくに冬場は必須と思ってください。つまりヘアドライヤーでエンブレムを温めるのです。これだけで冬場の作業の難易度が5分の1くらいになります。温め方としては、エンブレムのクロームメッキのパーツの円周(丸い輪っか)部分をメインに温めます。逆にベースの黒いプラスチックの面はあまり温めないようにします。

目的は、クロームメッキのパーツの温度を上げることで、硬度を下げて柔軟にすることと、熱膨張で丸を大きくすることの2つです。ちょうど写真のような角度で温風を当ててください。結局は全体が温まってしまう傾向にありますが、目的感を理解して狙って作業するという気持ちがわりと大切です。円周は全体に温めますが、上の方は温風を当てにくいので、どちらかというと2時〜10時くらいの範囲を主に温める感じで良いです。

070809






それから、細いドライバーを挿し入れてキッカケを作り、リムーバルツール(プラスチックのヘラ)を挿し入れてエンブレムのクロームメッキのパーツを浮かせていきますが、ここはSprungさんのマニュアルどおりです。とても詳しく書かれていますので、それを参照してください。ヘラを差し入れた際に、一箇所だけを広く開くのではなくて、ヘラを左右にスライドさせながら、少しづつ均等に持ち上げていくようにしてください。途中で冷えてきたら、温めなおして作業を進めてください。

ここで二つ目の「コツ」ですが、ヘラの使い方(動かし方)は大きく4通りあります。使い方の1番目はヘラを挿し込んだり、それをスライドさせる方法で、この方法は物と物の隙間をヘラの厚み分だけ開くことができます。スライドは左右のスライドと前後のスライドがあり、左右にスライドすれば隙間を開こうとする位置が変わりますし、前後にスライド(つまり深く刺す)すればヘラの厚い部分まで刺さるので隙間が広がります。

このエンブレムの場合ですと、先端がつかえていますので、そのまま直角に深く刺すことはできませんから、ヘラを前後スライドで使いたい場合は、エンブレム外周の丸に対してヘラを直径方向ではなく接線方向に使うと、幾分深く刺せるようになります。ヘラの4通りの使い方の中では、対象物の隙間を開こうとする力はこの挿し込む動作が一番強いです。硬いものを少しだけ確実に開きたいときには、この動作が有効です。

101112






ヘラの使い方の2番目は、差し込んだヘラをドライバーのように軸方向に回転させて隙間を広げる方法です。ヘラをしっかり握って、ヘラの先端をマイナスドライバーに見立てて、マイナスのネジを回すような感じに力を加えます。この動作は、先の1番目の差し込み動作の次に強い力を発揮します。ヘラを差し込んだ隙間をもう少し広げたいときや、隙間に掛かっている力がどのくらい固いのか柔らかいのかを確かめるときにこの動作を使います。一気にすっぽ抜けてパーンとはじけてしまうようなリスクがないのも、この動作の有利な点です。ただ、ヘラの先端が力に負けて変形し、対象物にうまく力が伝わらない場合は、この動作の適用範囲を超えていると言えます。

ヘラの使い方の3番目は、何か近傍の別の箇所を支点にしてテコにする方法です。テコの支点がない場合は、自分の指を宛てがったり、ウェスやその他のもので臨時の支点を作ることもできます。この方法は使い方次第では強い力を発揮し、また支点の位置によってはストロークも長く取れるので、いろいろと応用ができますが、やたらな箇所を支点にしてしまうと、その部分を傷つけたり変形させる可能性があるので、諸刃の剣です。この動作を使うときは、どこが支点でどこが力点かを明確に意識して行うのが最も重要です。闇雲にテコにしたり、開こうとする相手物そのものが支点であり力点でもあるような使い方になると、下記の4番目のこじる動作ということになります。

ヘラの使い方の4番目は、ヘラをこじる動作です。3番目のテコと少し似ていますが、手首を返してヘラの挿し込み角度を動かすような動きで、缶詰のプルタブをスプーンの先で持ち上げるときのような動作です。実は、作業に不慣れな方ほどこの動作が多いのですが、この動作はあまり良い結果を生まないことが多いです。対象物のエッジに無理かが掛かって痛めやすく、その割にはツールの先端が変形して力が十分に伝わりません。とくに対象物が固く嵌っていて外れない場合の対応策として、このこじる動作を行うのは好ましくありません。こじる動作は、ヘラと対象物との関係を見極めてこじることが有効だという状況のときにだけ使います。

131415






以上、写真を見ながら少し素振りで練習して、4通りのヘラの使い方を意識して作業を進めるとスムーズに作業できると思います。クロームのエンブレムは、6時の位置から外し始めますが、右方向だけ3時、2時の位置まで先行して外してしまったり、逆に左方向だけ9時、10時の位置まで先行して外してしまうと、そのあとが行き詰まります。Sprungさんのマニュアルにも書いてあるとおり、5時まで開いたら7時まで開く、4時まで開いたら8時まで開く、という具合に左右できるだけ均等に開いていくことが重要です。

さて、コツの三つ目です。左右均等に開こうと思っても、なかなか開かない場合というのがあります。なかなか開かなくて作業が膠着状態になってしまう場合というのは、必ず具体的にどこかの箇所が強く引っ掛かっているのです。この時の対処法は、引っ掛かっている箇所を特定して、その箇所に力が集中するように、できるだけその近くでヘラを使うことです。どこが引っ掛かっているのかを見極めるには、部品の爪の位置がどことどこにあるのかを知っておくことが一番有効です。

写真をみて、爪の位置をよく確認してください。私もこの種の外し作業をやっていて途中で詰まった場合、一旦作業を中断して、同形状の別の新品パーツを見たり、Webページを検索するなどして、とにかく爪の位置を確認します。場合によってはmaniacsの車輌を一旦バラして現物を確認してみます。ですので、引っ掛かって上手く開けない場合は、この写真をよく見てどこが引っ掛かっているかを確認してください。外周の爪は円周上に均等に8カ所です。内側の黒いプラスチック部品が凸で外側のクロームメッキの部品が凹でハマっています。VW文字部分の差し込み箇所は写真のとおりです。

161718






あとはSprungさんのマニュアルどおりのやり方で、エンブレムは外せると思います。3時から9時までの下半分の外周の爪が外せたら、クロームメッキのパーツをやや上に持ち上げる方向に力を加えながら、2時付近でヘラを少しテコに使って、全体を外すことができるはずです。外すのに非常に苦労したというパターンは2通りあって、もともとパーツの精度がキツ目にできていてガッチリ嵌ってしまっていた場合と、もうひとつは隙間に小さな埃などが詰まって固着していたという場合です。外すのが固かった場合は、埃の有無を見て固かった原因を掴んでおくことも大切です。

ここで四つ目のコツです。エンブレムを外したら、クロームメッキのパーツの内側を、できればブラシなどで洗剤で完全に洗い流してください。それから、メッキパーツを外した艶消し黒の台座の方も、とくに側面の爪の部分は小さなブラシなども使って、とにかくできるだけ清浄にします。ここに埃が残っていると、再装着の作業の際に支障になるのです。分解したらクリーニング、これがひとつの基本ですので、細かいところまでしっかり綺麗にしてください。

それから、五つ目のコツです。エンブレムを外す際に、ヘラを使っていますので、どうしても黒いプラスチックの台座のパーツのエッジ部分には若干のめくれ等が発生します。細かいことを気にしなければそのままで全く問題ありませんが、より綺麗に仕上げるには、黒いプラスチックパーツの円周のエッジ(クロームメッキパーツとの境界線になる箇所)を点検し、めくれや微小な変形のある箇所はリムーバルツールで撫でて形状を整えておきます。側面方向からめくれの部分を少し強めに撫でれば簡単に復元できます。

192021






そして六つ目のコツ。Sprung Colored Plateを正確な位置に仮装着したら、クロームメッキパーツは装着の前に再びドライヤーで温めます。黒い台座の方は冷えて収縮していた方が好ましいくらいなので、温めないで大丈夫です。メッキパーツの外周一周を、手で触って暖かいと感じるくらい(おそらく50〜60℃くらい)まで温めてから、はめ込みます。実は冬場は、外せたけど再装着に手こずるというパターンがときどきあります。温めると、ほぼ一発でスムーズにキマリます。

クロームメッキのエンブレムは、上部から嵌めはじめて、左右均等に爪を嵌めていき、最後に6時の位置をパチンと合わせれば完成です。Sprungさんのマニュアルのとおりです。嵌め合わせたら、黒い台座とクロームメッキパーツの合せの箇所を、全周点検してください。全周で異常な浮きがなく、密着しているかもしくは僅かな浮きがあってもその微小な隙間が均等になっていれば合格です。どこかの箇所だけ1mm以上浮いているという場合は、その近辺の爪が嵌っていませんので、一旦外して嵌め直してください。

さて、最後七つ目のコツ。クロームメッキのパーツを温めても、なおかつ嵌りにくいということが今まで一例だけありました。工業製品ですので、どうしてもバラつきがあり、個体によっては嵌りにくいことがあります。嵌りにくい場合の方法としては、爪の部分に薄めた中性洗剤を塗ってから嵌めてください。嵌めるという目的だけでしたら油性の潤滑剤でも良いのですが、あとで潤滑成分が残ってしまうと嫌なので、洗剤でしたら何回か洗車するうちには流れてなくなります。はめ込み作業で固い場合の対応方法としては、中性洗剤が有効な場合が多いです。

222349






はめ込み具合を確認したら、あとはマスキングテープを剥がして完成です。テープの上からヘラが当たった箇所など、粘着剤がボディに残る場合がありますが、いま剥がしたテープ自体を使ってペタペタと吸着させて粘着剤を綺麗に除去してください。エンブレムのベースをボディ同色にするととてもスタイリッシュな印象になります。Sprung Colored Plateは、VWの純正色でしたらどのカラ−でも製作できます。maniacsのWebショプでカラー選択のない色でも、maniacsでお取り寄せを受付しています。

またボディ色と関係なくブラックのSprung Colored Plateを装着される例も最近増えています。艶消しのプラスチック素地が塗装の艶有ブラックになることで、グレード感がぐっとアップしますので、ノーマルの外観を大切にしつつアップグレードしたいという方にはブラックのSprung Colored Plateもお薦めできます。大人のお洒落といった感じのモディファイですね。

50

   Sprung Colored Plate(商品ページ)