工房長です。3月に一度この開発の記事をご紹介しました。12月に浜松に行って設計を詰めてきたという内容でした。この開発のスタートは、それより更に一ヶ月前の11月のこと。商品名は、maniacs DSG Paddle Extension、ステアリングのDSGパドルに装着して、より積極的に操作できるようにするパーツです。見た目の雰囲気もさることながら、実際の使い易さにとことん拘って開発してきました。

パドルこれは、言わずと知れたノーマルのDSGパドル。実は非常に使いやすくて、違和感なく操作できる良い形状なのです。邪魔にならなず、誤操作を起こしにくい設計です。この良さを踏まえつつ、さらに積極的に操作し易い形状でなければ意味がない、というのがmaniacs流です。


パドルの形状データまずは、このノーマルのDSGパドルの形状を精密に測定します。三次元測定を行い、形状をデーター化します。これはそのデーターで、PCの画面上でグリグリ回して見ることができます(この絵はjpgなので回りません、笑)。


パドルの形状データ(詳細1)これはデーターを拡大したものです。微視的な凸凹は無視して、面の三次元的な湾曲を見ます。単純な円弧や二次曲面で近似できない、実に複雑で微妙な面形状なのです。こうして見ると、VWがかなり拘って設計したであろうことが、ひしひしと伝わってきます。


パドルの形状データ(詳細2)形状測定の過程は、このようになっています。三角パッチという方法で、小さな三角形の集まりによって形状を表現しています。このままでは設計には使えないので、これを滑らかな面形状で補完していって設計に使えるデーターに加工する必要があるのです。


ワンオフ試作品ノーマルでも優れた形状のパドルに、適当な形状の物を装着したら操作感がかえって悪くなってしまう可能性すらあります。無骨なデザインでは指との微妙なコンタクトが阻害されるので、人間の自然な操作に馴染む形状を求めて、試作を繰り返しました。


ワンオフ試作品(2)試作はフィギュア用のパテを使って、ゼロから練り固め、削り出し、トライしてはまた盛ったり削ったり、何度も形状を変えてはトライ、トライ、トライ・・・。 そして出来上がった形状を、精密に三次元測定して、データー化したのが下の絵です。


試作品の形状データとくに拘ったのは、ステアリングとの距離感です。自然に指を伸ばした位置にパドルがあり、自然な握りで操作できること。かつ操作しないときには邪魔にならない位置。また、実際に使えないところまで延長しても意味がないので、実用可能な範囲内で積極的に使えるパドルに仕上げました。

このデーターを元に、今度は工業製品として整然とした形状にする必要があります。試作品を測定したデーターは、試作品の微妙な面の歪みも全部拾ってしまい、同じように微妙に歪んだデータになっているので、この0.何ミリかの歪みを整えて、滑らかで美しい面構成にする必要があるのです。

そして、それが前回紹介した浜松行きへと繋がるのです。浜松行きに先立って3週間ほどかけてデーターをスムージングしてもらい、浜松に行ってその場で打ち合わせて設計仕様を90%くらいまで詰め、あとはメールと電話のやりとりで、さらに2週間ほどかけて最終データーを確定しました。設計が完了したのが今年の1月。そこから、いよいよ金型を起こして、製品化というステップです。金型に着手したら、もう後戻りはできません。(つづく)